――二人でalutoとして活動を始める際に、どんな音楽作っていこうとか、どういうアーティストになりたいとか話されたことはありますか?
藤田:最初はイメージが全然無くて、とにかく音を出してみないと僕も分からないし、ギターとヴァイオリンというのは参考にするものも無かったし、どうなるんだろう?って。「やってみないと分からないんだよね。でも、やるからにはちゃんとやりたいし」という話から始まって、「でも、ダメだったらゴメンね」という所まで僕も話してて。それで音を出してみて、僕の受けた印象があって、もちろん帆乃佳ちゃんも何かしら思って。それでお互い色々と受けたものに答えを出していくという一つ一つの作業で今日に至っているような気もしますね。――2007年7月にシングル「道〜to you all」でデビューしてから今回のファーストアルバムに至るまでに、自分達の成長や変化を感じる部分はありますか?
佐藤:作品を作ることもそうなんですけど、デビューしてから本当にいっぱいの場所でライブをやって、色んな人に出会ったので。ライブへの取り組み方とか、お客さんとの接し方とか、舞台に立つということを前よりすごく考えさせられるというか、余計楽しくもなって来てるし、余計難しくもなって来てるし、余計充実したものになって来てるし、ライブで成長した部分がすごく大きくて、作品にどんどん返っていって。「こういう曲は今のalutoに必要なんじゃないか?」っていうのとかが、ライブをやることによってすごく見えてきたりして、どんどんアルバムに繋がっていったような気はしてますね。藤田:もちろん僕らは元々、ライブでずっと育っていったというのもあって。そこから跳ね返って来たアルバムをレコーディングする工程で、回を重ねるごとに色んな手法を取り入れたり、自分達も慣れてきた所もあって。でもそれが逆に、ちょっとぬるま湯に浸かっているような感覚がする回もあったり。自分の中ではレコーディングを重ねれば重ねるほど、ヴァイオリンの音だったり、自分の歌だったり、メロディだったり、歌詞だったりが鮮明に見えたきた感じがして。こういうフレーズにはこういうメロディが合うんだなとか、合わないんだなとか、レコーディングするとこうなっちゃうんだなとか、っていうのはすごく感じてきましたね。ライブだとどうしても勢いとか空気感でフォローしてしまう部分もあったりもしたんですけど、自分の中で冷静に歌詞を考える時間もあって、レコーディングしてみると「結構、合わない歌詞なんだな」とか「合わないメロディなんだな」とか。キレイに、くっきりと形になっていくと分かることもすごくあるんだな、というのは勉強になりましたね。
――タイトルが象徴しているとは思いつつ、こういうアルバムにしたいというイメージはあったんですか?
藤田:「alutoにとってのベスト盤を作りたい」というのがあって。あと、ライブでいつもやってて「音源にしてほしい」という声がすごく多かったものも入れたかったし。僕らとしては結構、明確なテーマを元に作る作品というよりは、初めての1枚という意味で、色んなalutoを出していきたいアルバムというか。でも、いいものを出していこうという柱は変わらずに、今のalutoを一番詰め込んだ形で出せればいいね、というのはありましたね。――以前、あるヴァイオリニストの方と話したことがあるのですが、佐藤さんは今までヴァイオリンを弾かれてきて、クラシックに対してどこか敷居が高かったり、難しそうなイメージを世間に持たれているなと感じたことはありますか?
佐藤:クラシックを聴きに来て頂ける方というのは、皆さんチケットを買って、それなりの格好をして行かなきゃいけないというので、敷居が高いとは思うんですけど。でも今は、「色んな人に聴いてもらいたい」という運動もいっぱいあって、もう入り口さえ入っちゃえば全然大丈夫なものだと思うので。「のだめカンタービレ」とか、ああいうのもすごくいいきっかけになると思いますし。1回ちゃんとクラシックの曲を聴いてみたり、その作曲者の時代とか気持ちまで読んで聴いたりすると、すごく面白かったり。分析すると、「なんて良くできた曲なんだろう!」って思えたり。多分、今の時代もみんな命を削って音楽を作ってると思うんですけど、イメージ的には昔のクラシックの人達が命を賭けて何ヶ月間も掛けて作り上げた作品だから、すごく良くできていて。「本当は、そういうのがすごく楽しいのにな」というのは、後々思いますね。実際、私は小さい頃からずっとクラシックを勉強してたんですけど、勉強してる途中は全然楽しくなかったんですよ。すごく練習嫌いで、「クラシックなんて!」って一時期すごく思ってたし。楽譜を渡されて、正解があって、その楽譜通りに弾いて、どれだけ正解に近づけられるか?みたいな練習して、それを人前で発表して、人に聴きに来てもらって「何が楽しいんだろう?」ってずっと思ってたんですけど。
藤田:ロッカーだね!
佐藤:(笑)。それ抜け出すために、色んなことやってみたりして。その途中で大吾くんと会って、こういうことをやり始めて。だけど、実際にこういう違う道に来てみると、やっぱりすごいんだなと思って。最近は逆に、聴きだしたりして、すごく面白いですね。