路上をはじめ様々な場所で精力的にライブを積み重ね、2007年7月にシングル「道 〜to you all」でデビューを果たした、ギター&ヴォーカルの藤田大吾とヴァイオリン&コーラスの佐藤帆乃佳からなるユニット、aluto(アルト)。「生の音楽の感動を届ける」ことをテーマに4作のシングルを発表してきた彼らが1月21日、メジャーファーストアルバム「歌とギターとバイオリン」を発売。懐の深さを感じさせる藤田の力強い歌声と、佐藤の奏でる美しくも繊細なヴァイオリンの音色によって紡がれる音楽が、聴く者の心に確かな温もりを与えてくれる。

――お互いの第一印象は覚えていますか?

藤田大吾(以降、藤田):元々は、ずっと僕一人で路上をやっていて、「ヴァイオリニスト入れたいな」と思って、街中でヴァイオリンケース担いでいる人に片っ端から声を掛けたというのがまずあって。「音楽的ナンパ」と僕は言ってるんですけど(笑)。そこで知り合った、今思えば帆乃佳ちゃんの先輩ヴァイオリニストの方に彼女を紹介して頂いて、初めて会ったのが下北の駅前で。僕もその時「どんな音楽が好き」とか話すより、とにかく「まず最初に歌わなきゃ!」と思って。ギターケース出して、本人の前で歌ったんですね。自分の中でオーディションだと思って、だからもう印象というより、自分のことを出すのでイッパイイッパイだった感じがありますね(笑)。

――オーディションは合格だったんですね。

佐藤帆乃佳(以降、佐藤):もうその時、大吾くんは、先輩からちゃんと紹介された上で私が現場に来ていると思ってたみたいなんですけど、実はその先輩に私は何も聞かされてなくて。「ちょっと出ておいで」って電話で言われて、下北沢の駅前に行ってみただけだったので。そしたら男の子が立っていて、「藤田大吾です」って言って、ギターケース開けてその場で歌い出したのでビックリ、という印象でした。

――でも、演奏した後で話したんですよね?

藤田:そうですね、その時に連絡先を。

佐藤:でも、よく交換したよね?

藤田:僕もそういう事情を知らなかったので、後から話を聞くと、本当によく教えてくれたなと(笑)。僕はもう「一緒に音楽をやりたい男の子がいて、ヴァイオリンと一緒に音を出してみたいんだって」って聞いてるもんだと思ってたんで、じゃあ説明するよりは、まず聴いてくれって勢いじゃないですか。そしたら、何も知らない女の子が来たわけで(笑)。でも連絡先も交換できて、多分そこで情熱が伝わったんだろうなと僕は思ってるんですけど、後日また連絡を取って、しっかり音源も渡して。その時にちゃんと話したんだよね。

佐藤:うん。

――最初の出会いは、演奏だけして別れたんですね。

藤田:結構、夜遅かったですしね。

佐藤:遅い時間に先輩から「あの子だよ」って言われて、そしたらその場で突然歌われて、「すごかったです、頑張って下さい」って言うだけで(笑)。それはその場で終わったんですけど、後々説明を受けて、ちょっと面白そうだなって。

――最初はサポートとして手伝っていたそうですが、その後メンバーになるのには、何かきっかけがあったんですか?

佐藤:最初は、一緒に音楽を作っていく人を探してるというところから、一応スタートはして。大吾くんもヴァイオリンと一緒に演奏したことが無くて、私も歌とギターとヴァイオリンだけが乗っかって二人でやるのは初めてだったので、どんな風になるか分からなくて。参考に聴けるような音楽が何かも分からなかったし、どんな形になるのかが分からないから、とりあえずもう音を出してみるしかないという。「まずは一緒にメンバーになってやっていきましょう!」というよりは、「音を出してみて、どうなるか?」って色々活動してみてから、「一緒にやっていこう」ということになりましたね。

――佐藤さんはaluto以前から、いわゆるJ-POPな音楽はやっていたんですか?

佐藤:やってましたね。会ったのはちょうど大学在学中で、大学の中ではずっとクラシックをやってたんですけど、外では色んな所に行って弾いたり、ポップスの方面に興味を持って色々やってた時に、大吾くんと会った感じですね。さすがにクラシックだけしかやってこなかった人は多分、路上で電話番号を教えないですし(笑)、なかなか急に路上に出るようなことはしないかも知れないですね。