――YUKAさんが書く歌詞に対して、柾さんの方から何か意見を言われたことはありましたか?

:毎回、一緒にやり取りして、「もうちょい、こういう展開で、最後こうなった方がいいんじゃないの?」っていう話はして。

YUKA:客観視してくれるというか、リスナーとしての意見をすごく言ってくれるので。「ここの言葉は多分、俺は分かんない」みたいなことを言ってくれると、「じゃあ、普通に聴いた人も分かんないだ」というのが分かるから。

:結構、煮詰まって書いていったものって、ある程度俯瞰というか客観視して見て、たくさんの人が分かるようなものにはしたいなと思うので。いつも最終的には「二人とも納得した形で出そう」って、やってるんですけど。二人とも譲れない所は「この言葉は絶対使いたい」とか、メロディとのハマり具合もあったり、そこは結構バトルにね。

YUKA:粘り強くバトルします!

――歌詞を見ていると、「愛」とか「love」という言葉が目に付いたのですが、お互いの恋愛観について話したことはあるんですか?

YUKA:普段、柾くんのデモが上がって、それを聴いて映画みたいにバーって浮かんでくるので、「こういう世界のものが浮かんだよ」とか絵にして見せて。「こういう男の子と女の子が並木道を歩いていてね」とか「空は何色でね」とか、そういう所までちゃんと伝えて、ビジュアライズしたものを共有してやっていくと、すごくブレが無いというか、そういうやり方でやっているんですけど。例えば「この曲でこの男の子、この女の子はこう思っているんだよね」とか、曲をきっかけに話すことはあるんですけど、普段しゃべってたり、飲んでたりする時に「どう思う?」とかは、あまり話さないです。

:それは無いなー(笑)。多分、その感覚は大分違うかもしれないですね。だから、俺はあんまりそこに踏み込んで、「この人はこうは考えないだろ」とか、そういう話はあんまりしないんですよね。でも、YUKAちゃんの書く詞っていつも、1個1個違うストーリーというか、人物が違う感じがするんですよね。だから、いつも曲として良かったらいいなと思って。深い部分は多分、YUKAちゃんの心の奥に全部入っていて、僕はそれを客観的に見てる感じですね。

――歌詞も女性らしいなと感じるのですが、14曲それぞれで歌声の表情が個性豊かに変わるなと感じていて。テクニックもありつつ、意識して変えているというよりは、歌詞の世界に自然と身を委ねているような感覚なのでしょうか?

YUKA:どちらかと言うと、曲のイメージの中で生まれた主人公がいて、その人を基準にやっているので、自然と変わっていくという感じの方が多いかもしれないですね。

――インディーズの「PINKY RING」の頃から数えると、2年経っていますが、当時と今の歌とで、変わっていると感じる部分はありますか?

YUKA:「Do you remember?」から頭の方に「PINKY RING」が入ってて、歌だけ聴いたら多分、相当変わっていると思っていて。自分は昔の曲も好きだし、だからここに「PINKY RING」がまた違うバリエーションとしてあるのがすごくいいなと思っていて。前に誰かと、「あのビルの上に人が立っている」というのを、ちゃんと自分の頭の中で「ビルがあって、その上に人が立っていて」という映像を思い浮かべながらしゃべると、伝わり方が全然違う、って話してて。当然、歌も気持ちが入っていないと伝わらないと思うんですけど。それ以前に、曲の世界の中に入り込めるようになってきているのは、ライブを積んできているおかげだと思っていて。その先にレコーディングというものがあって、そこでは多分色んな顔をしてるだろうし、それによって表情がどんどん変わっていくんだろうなと思っていて。そうやって客観的に「PINKY RING」とかを聴くと、一歩後ろで歌ってる自分がいたんだなって。それはそれで自分の一つだと思うし、「PINKY RING」の時の私も好きになってあげたいなと思うんですけど。でも、「don’t wanna be」みたいに、グシャッとした感じのYUKAもいていいんじゃないかと思っていて。

:今聴くと、「Flowers」のアルバム全体的に言えるのは、本当にしっかりとキレイに歌ってる感じがして。でも、それはそれで自分的には結構、絶妙なバランスがそこにあって。

YUKA:うん。割とクールに、淡々と歌ってるという。それも好きなんですよね。

:それがオケに馴染んだり、ハーモニーがきれいになったりする部分はいっぱいあったんですけど。でも段々、それでできる限界もあって。もちろんライブをやってきたことも大きいと思うんですけど、そこからもっと人の心をつかんだり、もう一つ次のステップに今来ていて。だから、歌声も歌い方も変わっているんじゃないかなと。明らかに聴いたらもう変わっているんですけど、もっとたくさんの人に伝わる歌い方になってきているんじゃないかなと。

YUKA:逆に、例えば打ち込みの曲とかで、もっと前みたいにクールな感じで淡々として作ったらカッコイイ曲だってあるだろうし。それはそれでバリエーションとしてあって、また広がりがあって、色んなものが歌えるようになったんじゃないかなと思います。