――「愛情」のPV撮影はどんな雰囲気でしたか?

宮本:埼玉の奥にガランとした車の廃工場がありまして、私が白いワンピースを着て歌っているという。別にストーリー性も無く、本当にシンプルな感じで、このPVでこれを伝えるというのは無いんですけど。今までの二千花のPVって、実は「自分が歌っている映像」みたいなものがあまり無くて、子供とかハンドアートの動物が登場してきたり、割と間接的というか、そういう世界観みたいなものを表したPVだったので。ノンCGで、私は本当にもうただ歌って。もうすっごく寒くて、撮影の日40回ぐらい歌っているんですよ(笑)。

――前作の「あたらしい水」では、直立不動のまま髪の毛だけが伸びていって、微妙な顔の表情の変化だけで表現しなければいけませんでしたが。

宮本:あれはあれで動けない分、本当に難しかったんですけど、今回はもう間逆で。カメラというか、観ている人に訴えかけるような感じで歌って、動いてナンボみたいな。「愛情」がそういう曲というのもあるんですけど、すごく生々しいというか。髪がなびく感じとか、そういう所がすごくクローズアップされているんじゃないかなと。

――ジャケットも今までイラストだったのが、今回から一粋さんの写真になりましたが、何か打ち合わせはあったんですか?

宮本:まず、アルバムを出して、ちょっと一区切りというか。ワンステージ終わって、次のステージというのは、アルバムを作っている頃からみんな考えていて。やっぱりどんどん変わっていかないと広がらないし、自分達が飽きちゃうから。またゼロの気持ちで、色々試して。

――でも、裏ジャケットの髪が陽一郎さんだとは気付かなかったです。確かにストレートじゃないので、言われてみるとそうですね。

宮本:気付く人いるかな? すっごく張り切っていたのに。本当に色んなショットがあったんですよ。これを見た時の本人のリアクションは知らないですけどねー(笑)。

――撮影時にはメンバー二人とも、まさかこうなるとは思わなかったんですね?

宮本:思わないですね。最初の打ち合わせでは、髪の毛を写す感じで、私の髪で、裏ジャケットの陽一郎くんみたいな感じだったんですよ。それで、髪を撮ったつもりが、完成したジャケットを見たらこうなっていて。「おぉー、顔が出るじゃん!」みたいに。アップ過ぎて、自分でも自分じゃないような感じだったりして。

――顔の表情まで撮られているとは。

宮本:「髪を撮ってる」ぐらいの。割と肩も出して、うずくまっているような感じで撮ったので、あまり顔を作っている感じではないというか、普通にいる感じ。

――一粋さんの髪は、昔からストレートで長いんですか?

宮本:長くしているのは、2年前ぐらいからですね。昔はずっと、陽一郎くんに会った時もショートカットで、色もすごく明るかったんですけど。やっぱり長いとそういう風に撮れたり、アレンジが利くし。でも本当は、すごく切りたいんですよ!でも多分NGが出ちゃう感じで、ダメだと思いますけど(笑)。

――でも、また何かの作品のタイミングで変わるかもしれないですしね。

宮本:そうですね。でも、まずは「髪の長い子が歌ってる」みたいに覚えて欲しいですね。そういうちょっとしたイメージでいいので知って欲しいというか。毎回、色々と外見が変わると覚えてもらえないから、みんなが二千花のことを知ってくれるまで、私は「髪の長い女の子が歌ってる」というすごくアバウトなイメージを維持し続けようという所があるので。

――またこの先、次のステージがくるのを楽しみにしつつ。

宮本:うん、そうですね。

第1回「ギリギリなのに人を愛せている、人間の強さ」(2008年11月26日)
第2回「自分と向き合って生きることによって、小さな平和が広がる」(2008年12月03日)
第3回「歌以外のことは、すごく詰めが甘い人間です」(2008年12月11日)

二千花 ニューシングル「愛情」特集