――麻生さんは八木先生役を演じてみての感想と、自分にとってどんなことがプラスになったか教えてもらえますか?
麻生:すごく難しかったです!監督に何回も「八木先生難しいです!」と言っていたぐらい、やりながらもずっと難しさを感じていて。でも、“教育”という意味では八木先生もきっと難しさを感じながら、彼女は彼女で毎日すごく闘っていたと思うんです。映画が全部終わった後に思ったことだと、監督とお仕事ができたことがすごくプラスになっていて。私が思うになんですけど、監督はすごく作り込まれた芝居より、ちょっと生々しいというかリアルっぽい部分が好きなんだろうと。そういう芝居って、意識してできるものではないと思うんですけど、その発見が自分にとってはすごくプラスになったんですよ。表現するのは難しいんですけど。萩生田:「セリフが間違ってもNGにしないんですね」と言われたことは覚えています(笑)。
麻生:そう!あまり日常の会話で、きっちり話すことって無いじゃないですか。割と長い間やってはいるので、そういうことに気付いても良さそうなんですけど、今回お仕事して初めて気付いたんですよね。映画の中で台詞を言うことに関して、今まではきっちり話すことの方が当たり前だと思ってやっていたんですね。そうじゃない良さがあることに気付けたという発見は、ものすごく自分にプラスでした。
――監督は、どういうアドバイスをしたんですか?
萩生田:特に無いというか(笑)、アドバイスするのが仕事でもなくて。大概カメラの向こうに立てば、「どう撮られるか」という意識になっていくと思うんですけど、僕から見ていると麻生さんの場足は意外とそうではなくて。今この場所に立って、カメラのこっち側と一緒にどういう風に作っていくかな?という覚悟を持った女優さんだな、と思ってずっと見ていたというのが正直な感想ですね。――麻生さんは、撮影現場で子役達とどのように接したんですか?
麻生:まず、私からは仲良くなろうと話し掛けたことは無いです(笑)。八木先生自体が、自分の中ではすごく近付いているつもりなんですけど、すごく子供と距離がある先生だったので。自分からそんなに積極的に仲良くならなくていいかなというか、むしろその方が最初はいいかなと。敢えてそうしていたつもりはないんですけど、無理矢理仲良くなる必要もないかなって、ちょっと距離を置いていましたね。だけど子供達が話し掛けてくるので(笑)、自然にどんどん仲良くなっていって。もう冬バージョンでは、仕事が終わった後に「八木セン!今日ゲームやるから、うちの部屋に来て」と言われて、部屋に行ってまでゲームをして、子供たちと遊んで。萩生田:そうだったんですか!?
麻生:女子チームの部屋に呼ばれて「やわらかあたま塾」とかで対戦させられて、ほとんど負けるんですよ。子どもの脳みそはすごいんですよ(笑)。
――子どもに対する考え方など、この映画を通して変化したことはありますか?
麻生:そんなにすごく変わったとことは無いですけど、子どもって一人一人が持っているパワーがすごいんですよ。それが怖くもあり、勇気づけられもしたんですけど。先生として前に立つと、子ども達の視線が一気にくるので、すごく緊張するんですよ。それが意外と強烈なので、もちろん元気をもらったりもするんですけど、すごく疲れたりもするし。あの感じを味わえたのがすごく良かったです。