――昨年6月にリリースしたシングル「群青」でのデビューから1年3ヶ月ほど経っていますが、今年3月にリリースしたサードシングル収録曲の「開け放つ窓(piano version)」が中谷美紀さんと荒川良々さん出演の「ハウスメイト」CMで使用されたり、今年4月にアルバム「ブルーズ」をリリースして、変化を感じることはありますか?
阿部:いや、特に変わってないんですよ、基本は。ただ、場面場面ですごく重要な人物に出会えたり。デビューしてから、そういうすごく大事な出会いは経験してきているので。その出会いは教えてくれることがたくさんあるというか、そういうものから得るものが多い仕事だと思うので。普通にしているよりは、出会いの機会があるぐらいですかね。あとは全然、何も変わらないです。毎日バリバリ頭をかいて、「うーん…」とか言ってます(笑)。――自分自身はそれほど変わった実感は無く、周囲に対しては広く浅くというより、狭く深く徐々に浸透してきているような?
阿部:どうなんでしょう?私はお仕事とかで関係している範囲以外の目って、気にしすぎると恐ろしいというか。言い方がアレかもしれないですけど、あまり踏み込まれたくない所があって。自分からもそんなに「今度何をやる」とか「こういう人とこういうことをやって」とかを言わないでおきたいタイプで。もう本当にごく仲のいい人とか家族とかには、「今度こういう仕事をするよ」みたいなことは最低限言うようにはしているんですけど。でも、傍目からどう映ってるかは、毎日考えますけどね。――自分の楽曲を、自分がイメージした通りに伝わって欲しいというよりは、受け取った人それぞれが好きなように感じてもらえればいい、という考えですか?
阿部:もう全然、自由だと思います。自分でも「この曲はこうである!」って決め付けている曲はそんなに無いです。こういう見方も、こういう時に聴いたらこういう聴き方ができるかも?とか、無限の可能性のまま置いていたり、「大体こういう意味合いの曲かな?」みたいなものもあれば。――歌詞を書く際に、例えば同じような意味の言葉が二つあるとしたら、より広くイメージしてもらえるような言葉を選びますか?
阿部:でも、全部が全部そういう言葉を選んでいくと、それこそフワフワした感じになっちゃうから(笑)。絶対に何箇所か「これはもう、この曲の核だから」みたいな言葉は、自分の中ではある。タイトルがそうだったり。バランスですかね。――歌詞はいつ頃から書き始めたんですか?
阿部:元々、子供の頃から言葉がすごく好きだったんですね。授業でも国語とかすごく好きだったし。それで日記では無いんですけど、高校ぐらいの時に遊びで好きな言葉みたいなものをずっと書いていて。それが始まりかもしれないですね。――今回のアーティスト写真では、うさぎの着ぐるみを着ていますが、どなたのアイデアで?
阿部:ビジュアルは、デザインをしてくれているチームというか、CMでもずっとお仕事をさせてもらっている牧さんも関わって一緒に考えてくれていて。今回はセカンドシングルとアルバムに入っている「trip」をリカットという形だったので、シングル扱いというよりは秋限定生産盤だし、ちょっと遊び心があったり、いつもと違う感じにしようかという。本気で着ぐるみはなかなか…という所を敢えて、今回は着ぐるみでもいいんじゃないかな?みたいな(笑)。――自分からアイディアを出されたりも?
阿部:そうですね。でも、「ジャケットの打ち合わせしましょうか」ってなったら、いつもそういう風にアイデアを考えて提案してくれるのはデザインのチームなので、「いいんじゃないかな」って、すぐに賛成しましたけど。――ファーストアルバム「ブルーズ」のジャケットを見た時、個人的意見としては「あまりロードレーサータイプの自転車とか乗らなそうな人なんだけどな…」というイメージだったんですよ。
阿部:(笑)。でも、乗れないですよ。アレ、高いんですもん。もう足が届かないし。一回「乗って、こいで」と言われたんですけど、「全然、無理です」って(笑)。