■3年前のジーコジャパンとの違い

 3年前、ドイツワールドカップ最終予選。同じ場所で戦ったジーコジャパンは、0−1で試合をものにしている。その試合に挑む前のアブダビ合宿では、中田英寿と福西崇史がピッチ上で意見をぶつけ合い、緊急ミーティングも行なわれた。だからこそ、ジャパンスタイルで舞台に立てた。
 
 そして、挑んだ試合は、ジーコジャパンの試合の中でもベスト5に入るような好ゲームを展開した。福西と中田英のバランスがよく、躍動した攻撃を見せた。均衡を破ったのは、小笠原満男のスーパーミドルシュート。組織をベースに相手を追い詰めて、個の力で沈めた。
 
 ジーコジャパンの常連だった玉田は言う。

 「チームのまとまりとしては、今のチームのほうがあるのかもしれないけれど、やっぱり、個人の力と、自分のよさを出すというのが、このチームにはなかったかな、今日の試合を見て歯がゆく感じた」と。

 ジーコジャパンを称して中村俊輔は「各ポジションのスペシャリストを集めたチーム」と話す。と、同時に「でもそれだけではアジアで勝てても世界では勝てない。日本が世界に勝つためには、連動した動きやボールのないところでの運動力、機動力が必要。オシムさんはそういう能力が高い選手を選んでいる」とも話している。

 身体能力や個性などの点では落ちるかもしれないが、チームとして戦うための能力を兼ね備えた選手が集めらたのが、オシムジャパンだった。オシムはそのチームをよく鍛え、一つの集団へと導いた。

 しかし、バーレーン戦を終えて感じたのは、強引に流れを変える、自分のプレーしやすい形へとチームを誘導する選手が必要なのかもしれない。

 岡田監督は、試合後の会見で「ほとんど、予選で(チーム作りの準備)時間がなかった。Jリーグも2試合しかなかったですから。Jリーグがまたありますので、その中でもう一度メンバー選考を含めて考えていきたいと思っています」と語っている。

 監督は「6月ごろから自分の色を出していきたい」と話していたと聞いた。岡田ジャパンの顔ぶれが一新される可能性は高い。


文●寺野典子@バーレーン