■さらにユニークな面白携帯たち
巨大なレプリカ携帯の一方で、小型化や薄型化に取り組んでいるメーカーもある。中でも手のひらサイズの超小型端末はいくつかのメーカーが発売している。サイズが小さいため数字キーはなく、すべてタッチパネル操作となるので、もちろん使い勝手はあまりよくない。また、機能もそれほど大したものは搭載していない。残念ながらデザインはどことなく見たことのあるもの=大手メーカーの意匠を取り入れており、問題があるといわざるを得ないが、このサイズできちんとした携帯電話として使えることは驚異だろう。見た目がユニークな製品も多数登場している。最近話題になっているのはタバコ携帯だ。見た目は中国でメジャーなタバコ「中華」そのもの。ただしロゴは改変してあり著作権は問題ないという(メーカーの説明)。しかし背面にはカラーディスプレイと数字キーを備えておりこれでも携帯電話なのだ。本体を横から半分に分割するとSIMカードや電池を入れることができる。背面カバー側には実際にタバコが7本収納できるのも面白い。
この他にも自動車や人形の形状をしたものなど、面白いデザインの携帯が多数発売されているが、それらすべての実情を掴むのは非情に困難だ。これはほとんどの製品が1ロット生産されただけで販売終了してしまうためで、たとえ売れ行きがよくともメーカーに体力がないため追加生産できないところがほとんどだという。その反面、中小メーカー同士で形状のコピーなどが行われており、そこに独自の改変も加わるから、さらなるユニークな端末も日々登場している。
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■自由な競争から面白い製品が生まれる
これら中国小規模メーカーの製品を見て「所詮は見た目を変えただけ」「新しい技術に欠けている」「品質に問題がある」などと批判することは簡単だ。デザインなどに著作権上の問題のある製品もある。しかし各社が知恵を絞りながら面白い端末を出していくその姿勢は素直に評価できるのではないだろうか?また、使いやすさや機能以前に「面白い」と思えるだけでも、製品価値があるのではないだろうか?
携帯電話はまだまだ機能の進化が進むだろうが、基本機能だけを使う利用者にとってはすでに成熟した製品でもある。機能ではなく見た目だけで選べる製品があってもいいはずだ。
日本では通信キャリアが端末の基本仕様を設計・開発し、メーカーがそれに基づいて生産、キャリアに一括納入している。そのため、常に最新機能と使いやすさを備え、そして確実に売れる端末のみが市場に投入されている。しかし、その結果として同じような端末ばかりが増えているように思えてしまう。 たとえばJTがキャンペーンとしてタバコ形状携帯をプレゼントする、といったことがあっても面白いと思えるのだ。中国製造、単機能ならば数千円で作ることも可能になるだろう。中国のこれら「大量に売れそうにない」「しかしユニーク」な製品コンセプトを持った端末、将来は海外でもあたりまえのものになるかもしれない。
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山根康宏
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