しかも、「貯金するのは時代遅れで、投資するのが最先端だ」とかだまされて、郵便局の窓口でハイリスクな外資の投資ファンドを買わされて、米国に「寄付」しているわけだ。バブルが終わっても「アッシー」「ミツグ君」をやっている日本っていう国は何じゃらほい。保守派の人まで「米国追従でいいや」と言ってしまっている。
真のイコールパートナーなら「これは好き」「これは嫌いよ」とキチンといってあげなければいけない。「米国のブッシュはイラク戦争の責任を取れ!」と今ごろになって言い出した日本の記者クラブ加盟メディアは、ブッシュに全面追従した小泉の責任も夜討ち朝駆けで追及しなきゃ。
── 「ヒルズ族」の代表格が相次いで逮捕・起訴され、「勝ち組」の意味するところも変わってきた。
「フォニー」(まがい物)や「フォクシー」(ずるい人)じゃないものが、最後に残る。六本木ヒルズの会社は「フォニー」だったのかもしれないけど、永田町(政界)、霞ヶ関(官僚)、大手町(財界)の人間だって、多かれ少なかれ同じ穴の何とやら、とも言えるよね。
だけど、大手町は既得権のピラミッドの掟にキチンと従って献金しているからおとがめなしで、ヒルズ族は献金しなかったから手入れを食らうってことかね。同じ行為をしていても、吉原は摘発されずに、渋谷や新宿の店は捕まっちゃうのと似た部分はあるね(苦笑)。
── 堀江貴文氏や村上世彰氏が世の中に与えた影響をどう評価しますか。
2人とも最初は、既得権益を壊す「アンファンテリブル」(価値びん乱者)として出てきた。「コンシューマーオリエンテッド」(消費者重視)を叫んでいたようにね。でも、いつの間にかそれが自分を守る論理に変わり、アッという間に苔むす石になってしまった。
一方で、ピラミッドの中でヌクヌクしていた年上の既得権者は、とりあえず理解を示すふりして、ある飽和点を超えたら目障りだから排除しちゃったわけでしょ。
── 「フォニー」でない価値観や時代を切り開いていく担い手とは。
世の中を変える人は“ローリングストーンズ(複数形)”ではなく、自律した“ローリングストーン(単数形)”。そして、その個人が同じ志を持つ人と連帯する「ユナイテッド・インディヴィジュアルズ」になっていかねばならない。
ミック・ジャガーたちは、一人ひとりが自律したローリングストーンとしての、顔の見える集合体だったから、烏合(うごう)の衆とならずに活躍し続けてきたんだ。
◇次回は、ライブドア事件直後に東証マザーズに上場したドリコムの内藤裕紀社長。
【了】
■徹底総括 マネー不信をこえて
第2回 ドリコム・内藤裕紀社長 脱ヒルズ IT起業家に第3の波(12月28日)
第3回 さわかみ投信・澤上篤人社長“宴のあと”の投資ファンド原論(12月29日)
第4回 三井法律事務所・熊谷真喜弁護士 「会社の品格」 存在感増す指南役(12月30日)
最終回 ライブドア・平松庚三社長 ライブドア再建 社長が聞く除夜の鐘(12月31日)
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