今春入社の新人・上垣皓太朗アナへの“容姿イジリ”で炎上したフジテレビ。11月29日に行われた港浩一社長の定例会見では、西山喜久恵アナが謝罪する一幕もあった。異例の謝罪の内幕を関係者が明かす。

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 先月の定例会見で、フジテレビの港浩一社長(72)は、批判が殺到した上垣皓太朗(23)アナに対する先輩アナの“容姿イジリ”について、「ご意見・ご指摘を真摯に受け止めて、今後も一層コンテンツ制作に留意していきたいと思いますが、阿部華也子さん、西山アナ、生田(竜聖)アナは誠実で後輩思いで優しいアナウンサーたちです。これからも温かく見守って頂ければ」などと説明した。

上垣アナと西山アナ

 この会見で司会を務めていた西山喜久恵アナ(55)も、「不快な思いをされた方がたくさんいらっしゃったことを、私、そして生田アナ、阿部華也子アナも本当に深く受け止めています」として、「緊張を解こうと思いあのような表現になってしまった」と釈明。上垣アナに直接謝罪をした旨を説明し、「上垣アナを含め、若手のアナウンサーが気持ちよく仕事を進んで前向きにできる環境を整えるのが先輩の役目だと思っておりますので、これからも『めざましどようび』は今のメンバーで仲良く明るく頑張っていきますので、皆様には温かく見守って頂ければ」と語った。

「23歳なんだよね?」

 騒動の発端となったのは、フジテレビが7月12日に「めざましmedia」のYouTubeチャンネルで公開した動画だ。この動画の中で上垣アナに対して、

「ポップなデザインが似合わないねえ〜」(生田アナ)

「上垣Tシャツがね、ちょっと似合ってないっていう」(西山アナ)

「甚平とか似合いそう。甚平」(阿部アナ)

 などと外見を茶化した他、

「23歳なんだよね?」(生田アナ)

「違うんじゃないですかぁ」(阿部アナ)

 などと言っている様子が10月28日頃にSNS上で拡散され、“新人いじめだ”などと批判されていた。炎上は中々収束せず、約一か月後の先月29日に西山アナが謝罪することとなった。

罪悪感の希薄さ

 炎上の背景には、本件に対する罪悪感の希薄さがあったという。フジテレビ関係者は言う。

「元々上垣アナは、今春、貫禄ある見た目に対して明石家さんまさんに“入社15年前?”などとイジられ、番組内で『推しアナ』に選ばれていました。フジの先輩アナたちやスタッフからすると、上垣アナのベテランに見える容姿は“美味しい”特徴で、容姿へのイジりも『めざましmedia』での公開も“新人アナを盛り立てる”ぐらいの認識でしかなかった」

 そもそも、現在の社長である港浩一氏がプロデューサーを務めた「とんねるずのみなさんのおかげでした」といった人気番組からして、スタッフイジリを名物の一つとしていた。フジの社風にどっぷり浸かっている1992年入社の西山アナや、2011年入社の生田アナからしてみると、自社のバラエティのノリでイジッただけ、という認識だったのだろう。

 別のキー局関係者は、こう解説する。

「今回の騒動後、“さんまさんのイジりは愛がある”と、上垣アナへのさんまさんのイジり方が注目されましたが、この騒動についてさんまさんは“言葉っていうのはすごい危険なこともあり”“我々、言葉のチョイスは気をつけてるけどな”と語っています。プロの芸人でもない先輩アナが特段意識もせず後輩アナの容姿をイジったのであれば、いじめのように見えてしまう危険性は十分あります。なおさら、動画を出す際には慎重にチェックすべきだったと思いますが、あのノリ自体フジの典型的な“内輪ノリ”ですから、局内では問題になると思ってなかったのでしょう」

 その“ノリ”が時代にそぐわない、不快だ、といった指摘も多いが、

「悪意はないため、上垣アナに対しても容姿をイジって申し訳ないというより、炎上騒動に巻き込んでしまって申し訳ないといった部分の方が大きいです。西山アナが会見で“(上垣アナが)私たち3人のことをすごく心配してくれて”と説明した通り、上垣アナ自身も先輩アナたちからの謝罪については非常に恐縮した様子だったと聞いています」(前出・フジテレビ関係者)

 動画の配信時期と炎上した時期のズレも、この受け止め方の一因となっている。

「『めざましmedia』の声明では、“この動画は今年7月にめざましmediaが公開したもので”と公開時期を強調している通り、制作側としては、公開後3カ月は全く問題視されず何も言われなかったのに、動画が切り取られて拡散されたせいで炎上した、という捉え方なんです」

モチベーションが低下

 今回の騒動で最も心中穏やかならないのは、炎上した当人である生田アナだという。

「生田アナは元々、残業はしないし、サービス残業なんて1分たりともしたくありません、というタイプ。部内の飲み会にも行きたがらない今時の感覚の持ち主で、局に対しても忠誠心が低い。前妻である秋元優里アナとの婚姻中に、秋元アナのW不倫が週刊文春で報じられた際、“会社は守ってくれなかった”とこぼしていたほどです」

 12年に秋元アナと離婚し、今年5月には再婚も発表された。不倫騒動も過去のものになったかと思われた矢先に、今度は“容姿イジリ”が炎上したというわけだ。

「『めざましmedia』は、『めざまし』の番組のスタッフがそのままスライドして今年2月の立ち上げから担当していました。そこで配信された動画が炎上したことで、生田アナとしてはリスクを予期せずあの部分を出してしまったスタッフ側に強い不満を持っています」

 とはいえ、責任が「めざましmedia」だけにあるかというと必ずしもそうではなく、

「本番中はCM時間も含めて全て収録しており、出演者はそのことを理解しています。『こことここはめざましmedia分です』と事前に決めた上で収録しているわけではないので、どこを切り取られるかはわからないものの、どこかが使われるというのは出演者もわかっていました」

 加えて、

「映像を出す前に、『めざまし』担当の幹部、アナウンス室、阿部アナの所属先であるセントフォースにも確認し、出演者も含めて承諾を得た上で出した動画です」

 こうした経緯から、

「今回の炎上で、フジは蜜月状態だったセントフォースとの関係にヒビが入るのではと心配されていましたが、セントフォースは“自分たちも確認した上でゴーサインを出してしまったから”と、フジを責めるようなことはしませんでした」

 が、フジの局アナとして10年以上勤めて来た生田アナの心境はセントフォースのようにはいかず、

「ただでさえ秋元アナの一件で不信感があったのに、今回の炎上で会社だけでなく『めざまし』という番組にも失望しているような状況です」

 そんな状況では熱意をもって番組に臨めるはずもない。

「『めざまし』へのモチベーションが低下していて、“生田アナは今年度いっぱいで『めざまし』をやめると言い出すんじゃないか”と心配する向きも出るほど。先輩の西山アナとしてもなんとかしなければと思っていたんです」

軽部アナより……

 今回の騒動の余波は大きく、炎上した3名以外のアナウンサーにも、動揺が広がったという。

「長年安定感があり高い好感度を維持してきた西山アナは、自身が炎上したことに大きなショックを受けていましたが、好感度抜群の西山アナが炎上したことで、“あの西山アナでさえ炎上するのか”と、アナウンス部全体も戦々恐々としています。明日は我が身ですからね」

 今年立ち上げたばかりの「めざましmedia」に関しても、認識を新たにする部分はあったようで、

「『めざまし』は生放送ですから、伝統的に番組が無事放送されればその日はそれで終わり、という感覚がありましたが、今回ネット配信の動画が3カ月後に炎上したことで、生放送の肌感覚との大きな違いを実感させられました。いかに生放送のテレビの感覚がネットの世界で通用しないのかを突きつけられた格好です」

 一方で、今回予期せぬ形で大きな注目を集めた上垣アナに関しては、これまでと変わらず期待をかけているようだ。

「炎上の一件があって以降、多少腫れ物に触るようになってしまったところがありますが、フジとしてもキャラが立っている上垣アナは大切にしたいと考えています。将来は軽部さんのような名物アナに育てていきたいという認識です。上垣アナもエントリーシートでは軽部アナを真似て蝶ネクタイで撮った写真を送っていますし、“ポスト軽部”と見られていますね」

 炎上騒動の以前より上垣アナの人気は高く、SNS上では落ち着いた振る舞いや声の聞き取りやすさ、人柄のよさがにじみ出る言動を賞賛する意見も多かった。

「実際に人柄はいいですね。軽部アナとは結構性格が違っていて、20代の頃の軽部アナは生意気でプライドも高く扱いにくいところがあった。一方、礼儀正しく好青年の上垣アナは、ひょっとすると軽部アナより大成するかもしれません」

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 フジテレビに、炎上の原因や生田アナの心中について尋ねたところ、以下の回答があった。

「視聴者の方々を始めとして様々なご意見や厳しいご指摘をいただいております。こちらは真摯に受け止めており、今後より一層コンテンツ制作に留意してまいります。尚、ご質問いただいた件についての回答は控えさせていただきます」

デイリー新潮編集部