警視庁が1年かけて着手した東京都板橋区で起きた踏切自殺強要事件。逮捕された建築関連会社社長らは56歳の従業員が壮絶な社内いじめの末非業の死を遂げた後も、自宅で家族らと日常生活を送っていた。週末は呑気に趣味の草野球に打ち込んでいたのである。
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【写真32枚】グラウンドの中で平然とタバコを燻らせる佐々木容疑者。岩出容疑者はキャッチャーだった
地域の軟式野球大会に出場
12月8日、殺人と監禁容疑で逮捕されたのは建築関連会社「エムエー建装」社長の佐々木学容疑者(39)と同従業員の島畑明仁(34)、岩出篤哉(30)、野崎俊太(39)3容疑者。4人は同従業員の高野修さん(56)を日常的にいじめた末、昨年12月3日0時過ぎ、板橋区内の踏切内に立つよう強要し通過した電車に轢かせて殺害した疑いがかけられている。

警視庁は事件発生直後、4人を任意で事情聴取したが全員が関与を否定。その後も4人は1年余りの間、自宅から仕事に通う通常の生活を続けていた。
週末は野球三昧だった。佐々木容疑者は小平市にあるBという草野球チームの監督で、島畑、岩出両容疑者もチームメイトとして名を連ねていた。
7月上旬には、東大和市の市営球場で軟式野球大会に出場していた。午前9時過ぎにグラウンドを訪れると赤と白のユニフォームをまとった佐々木、岩出両容疑者の姿が見つけられた。この日は島畑容疑者の姿は見受けられなかった。
試合中にグラウンドの隅でタバコを吸い出した佐々木容疑者
水色のタオルを首に巻いた佐々木容疑者は試合には出ず、ずっとベンチで監督として指示を出していた。味方が好プレーをするとベンチから飛び出し、はち切れんばかりの笑顔で声援を飛ばす。週末の趣味を思いっきり楽しんでいる様子が伺えた。
だが、時折スポーツマンにもとる姿が見受けられた。試合中にもかかわらずベンチから離れた球場の隅に歩いて行き、タバコに火をつけるのである。見るにみかねて注意しようとしたのか白髪の審判が近寄ってきても平然と吸い続けていた。
一方、岩出容疑者は試合にフル出場。チームの要であるキャッチャーとして誰よりも声を出していた。岩出容疑者は都内の高校野球強豪校、東亜学園出身。一部サイトには2012年のドラフト候補として名前が載っていた。
我が子の野球チームも観戦
この草野球大会が行われた前週も佐々木容疑者の姿は八王子市内のグラウンドにあった。この日は小学生の息子が所属する少年野球チームの応援。朝7時から妻に見送られながら1人真っ先に自宅を出て、待ち合わせ場所の小学校へタバコを吸いながら自転車に乗って向かった。
グラウンドでは他の保護者らと共に、朗らかな笑みを浮かべながら我が子が奮闘する姿を見守っていた。
事件から7カ月が経過していたが、彼らは捜査から逃げ切れたと思い込んでいたのだろうか。
草野球を取材した日からしばらくしてエムエー建装はホームページを新設した。そこには誇らしげに次のような文言が書き連ねてあった。
〈地域貢献の一環として、地元の草野球チームのスポンサーを務めています。スポーツを通じて、地域の活性化とコミュニティの絆を深めるお手伝いをしています〉
その傍には〈社員同士仲が良い アットホームな雰囲気〉ともあった。肛門に棒を入れる、熱湯をかける、プロレス技、最後は踏切へ……。彼らは高野さんに対して日常的に行っていた壮絶ないじめを記憶から消し去っていたのだろうか。
現在、ホームページは消され閲覧できなくなっている。これまで週末になると家族の団欒が聞こえてきた佐々木容疑者が住んでいた小平市の一軒家は、逮捕翌日には人気がなくなっていた。
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デイリー新潮編集部
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