神奈川の港町・真鶴でラーメン店を営みながら俳優としても活躍するコメディアンのデビット伊東(58)にABEMAエンタメは独占密着。そこで明かしたのは、真鶴町でラーメン店を営む理由、そして都会暮らしに疲れた妻への思い、さらに盟友・ヒロミとの関係も。人生の終着地点と語る真鶴町で、再起をかけるデビット伊東のイマに迫る。

【映像】ラーメン店で働くデビット伊東と妻・能子さん

 デビットは、1986年にヒロミ(59)、ミスターちん(61)とお笑いトリオ「B21スペシャル」を結成。とんねるずやダウンタウンなどと一緒に“お笑い第三世代”と呼ばれ、息のあったコントで一世を風靡した。

 その後、番組の企画で有名ラーメン店に修行入り。2001年に「でびっとラーメン」をオープンし国内外で12店舗まで拡大させたが、コロナの影響で経営が傾いた。

 2021年、相模湾に面した真鶴町に移住しラーメンショップ『伊藤商店』をオープンさせた。11時に開店する『伊藤商店』。オープン前にもかかわらず店先にはすでにお客さんが…。開店するとあっという間に席が埋まる。

 『伊藤商店』では、お客さんにその日の気分で食べたいラーメンを選んでほしいそうで、あえて種類を絞らず、味噌・塩・醤油など様々なラーメンが揃っている。さらに作り方にもこだわりが…

ーー味見は一杯一杯するのですか?

デビット:全部味見する。俺が何故味見するかというと、まずお客さんを見てどういう人なのかなって見る。これがおじいちゃんおばあちゃんだったら薄めにしてあげなきゃいけないし。子どもだったらさらに薄めにした方がいいし。

 幼少期から高校まで、野球やラグビーに打ち込んでいたデビット。そんなスポーツ少年が芸能界に入ったきっかけは…

デビット:スポーツ少年がラグビーの選抜で大学の試験を受けて。一浪したんだけど。その間に水泳のコーチをやりながら、たまたま歌舞伎町で働いた。ショーハウス。そこにヒロミさんとちんさんがいた。それが悪運の始まり。それでヒロミさんの家に居候させてもらって。僕の部屋は押し入れなんだけど。押し入れにずっと寝泊まり。押し入れって知ってる?ちょうど180センチぴったり。

ーーなんて声をかけられたのですか?

デビット:「やらない?やるよ」「はい」って。それだけ。興味がないって言ったら嘘だけど、どんな世界か分からないじゃん。やってみないと。コントをやり始めて「この人面白い」って思い始めた。テレビ演芸は10週勝ち抜いた。コントの途中に横山のやっさんが入ってきて「お前らの勝ちや」って。コントを見せてお客さんが笑ってる姿をみた時、すごく面白い商売なんだって思った。その後テレビの世界に行って大変なんだなあって思った。テレビに出るって大変なんだなって。

「B21スペシャル」の秘話・当時の年収は…

 ヒロミと、ミスターちんと一緒に「B21スペシャル」でコントを続けているとやがてバラエティ番組にも呼ばれるように。そこで肩を並べていたのは…

デビット:あの時にウッチャンナンチャン・ダウンタウンが一回上がってポシャった。そして俺たちと一緒にまた出てきた。これだけは言ってたね。ウッチャンナンチャンの番組と俺たちの番組。ダウンタウンとうちらB21の番組がしょっちゅうあった。どこにいってもよく会った。ヒロミさんによく言われてたのはヒロミさんはリーダーだから「絶対ウッチャンナンチャンと話をするな」「ダウンタウンと話をするな」ってしょっちゅう言われてた。だから俺は体育会系だから「はい、分かりました」。でも裏で話を聞くと、一番仲良くしてたのがヒロミさん。あの人はそういう人なのよ。

ーーそれはどういうことですか?

デビット:知らないよ、そんなの。(笑)とにかく仕事してた。数多く。あとうちらはコントがメインだからコントをいっぱい作ってた。

ーー年収はどれくらいでしたか?

デビット:ん〜どのくらいだろうな?一軒家都内で2棟くらい建てられるんじゃない?年収。

 その後、ヒロミは1人で活躍するようになり、トリオとしての活動は減少。デビットは役者の道に進んだ。

ーーB21は解散しているんですか?

デビット:してないんです。舞台やりたいんじゃない?コントやりたいんじゃない?ライブやりたいんじゃない?3人共が。僕は常にやりたいと思ってる。毎年、今年やるのかな?と思うけど。なんでヒロミさんのライブなのって。そこにうちらが協力する。それは毎年1回ある。

ーー自分からやろうとは言わないのですか?

デビット:やりたいとは言ってるよ、ずっと。テレビ出るのも3人の方が俺はいいと思うし。単独で出ることをバラエティは避けてきたことは確かにある。

ーーヒロミさんがもう一度ブレイクした時はいかがでしたか?

デビット:もうよかったと思った。一番拍手したと思う。俺は心の中で。一番テレビに出なくなって、いろんな所に挨拶回りしたのは僕だけだと思う。どうにか形をとってあげてください。色んなプロデューサーに。出てほしい。消えてほしくなかったから。

「一生分の借金」ラーメン店にかける思い

 役者として舞台やドラマに出演している中、バラエティー番組の企画がきっかけでラーメン店に修行することになったデビット。その道にのめり込み、2001年に、自身の店『でびっとラーメン』をオープンさせた。

デビット:修行をし始めたらハマってしまって、一生懸命やってたら従業員抱えて。会社とはなんぞやって勉強して。

ーー初めての一般の人の仕事でしたか?

デビット:そうそう。アルバイトもそんなやってきてないし。もう19歳からこの世界入っちゃってるから。やっぱりテレビの影響もあったからすんごい行列だったし。対応するのも大変だったから。外から言われてたんじゃない?しょせん芸能人だろうって。すぐ辞めんだろうって。でも24年も経つと何も言われなくなった。

ーー仕事で始めたラーメンがどの段階で楽しくなったのですか?

デビット:楽しいというのは、多分すぐ舞台だと切り替えたから。お客さんのために、お客さんを笑わすためにっていうふうに切り替えちゃったら、それはずっと楽しい。ただ、会社として従業員を抱えることが大変だった。そっちの方が。

ーー番組が終了しても、そのラーメン店を続けてくことになったのですか?

デビット:そう、引き続きやって。出店、出店して。出店しても銀行は貸してくれないし、お金を。何万回って行って貸してもらって。それからだね。以前のそれはそれで番組の企画だから。その後どうするんですかと。それじゃあ従業員のためにやります。

 日本のみならず、海外にも6店舗出店し、ラーメン店としての成功を収めた「でびっとラーメン」。しかし、コロナの影響で経営が傾いた。

デビット:俺はお金を借りてこようと。お金を借りてきて、ドンとみんなに渡してこれでどうにか生活してくれ。必ずコロナは明けるから。

ーーいくら借りたのですか?

デビット:教えないよそれは。一生分の借金かな。俺のこっから先。残りの人生かけてうちの従業員を守るし奥さんも守る。

ーーお店の名前を新しい名前で始めたのは何故ですか?

デビット:いや2人だけだから。でびっとラーメンのスタッフは入れないしメインは奥さんのお店。基本的に。僕はでびっとラーメンもサポートするし芸能も続けてるわけだし。

 真鶴町に移住し、新たに『伊藤商店』をオープンさせたデビット。都会から移り住んだ理由は、店の立地だけではなく、妻・能子さんの体調が変化したことにもあった。

デビット:ぼーっとしてる時間が増えてたかな。だから俺の中では守りきれなかったっていう。心のストレスじゃないけど、家でじーっとしてるわけだし。色んな所を見に行って、ゆっくり過ごせる所を探した。そしてこの町民に出会って。この町はコロナを知らないというか。マスクはしてるけどめちゃくちゃ近いんですよ会話が。俺たちはそれが癒された。そして移住を決めて。多分俺のことを芸能人だと思ってないと思う。普通のおっさんだと思ってる。

ーーそれはいいことなのですか?

デビット:すごくいいこと。僕たちはやっぱり19・20歳からもうデビューしちゃってるし。虚勢を張っているというか。一般じゃなくて芸能人って。それが嬉しくて嬉しくて。フラット、みんな。子どものときからずっと引っ越しばっかりしている家族だったから、本当の友達はいなかったんだよね。だから、そうやってすごく近くで接せられると、嬉しい反面、どうしていいか分からない事もある。

一方、妻の能子さんは…

能子さん:(気持ちが)全然楽です。見栄を張る必要もないし。分かりやすく言えば“デビットさんの奥さん”って呼ばれ方を今までは知らない人ならするじゃないですか。それが、ちゃんと名前で呼んでくれるんですよ、ここは。薬局とかスーパーで初対面の人に会っても「たかこさん」ですよねって。下の名前でちゃんと呼ぶんです。デビットさんに対してもちょっと距離をとってコソコソっていうよりは「あらデビットさん何してるの」って。

デビット:まあでも、最後のすみかにはなる。

デビット伊東の夢とは…

 傷ついた夫婦を癒やした真鶴町が最後のすみか。そう語るデビットには、ある夢が…

ーー役者のお仕事は今どのくらいやられているのですか?

デビット:今、やってない。何故かっていうと映画作りの勉強してるから。真鶴に対しての、町民に対しての恩返しだよね。恩返しが、僕の一つの夢が映画を作ろうかなって。もう台本を、オリジナルを一緒に考えながら書いてる。僕ができることは芸能のことはプロだから。地域創生の映画。今回はラーメン屋さんの物語。僕もあんまり出たくないって言ったんだけど出ることになって。監督もやりたくないって言ったんだけど、お前が監督やった方がいいよって言われて悩んでいる。来年撮影。

ーー監督はやられたことありますか?

デビット:ないです。どうしていいか分からない。

 週6日でラーメン店の厨房に立ちながら、タレント活動も続けているデビット。どちらの自分が好きかと尋ねると…

デビット:皆さんに言われるけど、俺の中で一つが全部一緒。お客さんに見せる商売だから、全て。最初から修行してる時から全部一緒。2足のわらじって皆さん言うけど、俺は1足のわらじがちょっと大きくなっちゃっただけだから。努力を続けてるって。芸能の仕事やってる時はラーメン屋さんは全部休み。舞台、ドラマがあったら1ヶ月、2ヶ月休みだし。毎週水曜日は自分のレギュラー番組があるからテレ玉の。その時は休みだし。あ、俺いつ休んでるの?(笑)俺いつ休んでるんだ?

ーー寝ていますか?

デビット:寝てる。熟睡してる。大谷と一緒だから。寝なきゃダメ。

(『ABEMA NEWS』より)