「第11回やぶ医者大賞」に島根県浜田市の佐藤優子さん(44)と、山口市の中嶋裕さん(48)の両医師が選ばれ、16日、兵庫県養父市で表彰式があった。
なぜ、下手な医者の代名詞となったかというと、「自分は養父の名医の弟子だ」と評判を悪用する医者が続出したからとされている。
大賞は、若手医師の育成や医療過疎地域の医師確保、地域医療の発展に寄与することを目的に、過疎地の病院、診療所に5年以上勤務する50歳以下の医師、歯科医師から選ぶ。今年は全国から9人の応募があった。
佐藤さんは、浜田市国民健康保険波佐(はざ)診療所長として、地域の健康課題である「アルコール」「脳卒中」の予防をテーマに、関係機関や医学生を巻き込んで啓蒙(けいもう)活動を実施していることなどが評価された。
佐藤さんは「普通の医師である私が、へき地医療を学べる教育と仕組みのお陰で、へき地医療を担えるようになりました」と語った。
中嶋さんは、山口市徳地診療所長として無医地区で月2回、医療機器を搭載した車「医療MaaS」による遠隔診療を導入。地区でみとりを支援したことなどが評価された。
中嶋さんは「あこがれだったやぶ医者大賞を受賞できて光栄です。地域で暮らす人がハッピーになれるようにしたい」と喜びを語った。
現在では下手な医者のことを「藪(やぶ)医者」というが、その語源が江戸時代に活躍したとされる「養父にいた名医」であることにちなみ、市が大賞を2014年に創設した。(菱山出)