閉ざされた飛行機内で、隣の乗客が異臭を放っていると、快適なはずのフライトが不快になる。筆者は過去に当サイト(日刊SPA!)で「飛行機の隣に“太りすぎた客”が来たら?」を執筆したが、今回の対象者は目に見えるものではない。
 臭気を放つ顧客のため、チェックインカウンターや搭乗ゲートを気付かれずに進み、機内に入ってしまうケースがある。このような場合でも慌てず冷静に行動することが大事だ。

◆世界の香水市場の消費を知る

 ニオイといえば香水だ。世界的に見て日本市場での香水の消費量の大小はどうなのだろうか。欧州の調査会社「ユーロモニター」の調べでは、香水を日常的に使用する量が多い国には、ラテンアメリカ、中東、北アフリカが含まれる。

 特にラテンアメリカや中東・北アフリカの地域では、香水の使用が日常的な習慣であり、西ヨーロッパも香水の使用量が多い地域とされ、フランスやイギリスなどでは香水は高価で高品質なものが好まれると言う。

 日本を含む東アジア系人種の体臭はさほど強くないのが調査結果に出ていることから、日本発着の機内では本事例は稀なケースであることと言えるのだろうか。実は、インバウンド旅行客の増加で往復ともに他国の旅行客の搭乗は多く、可能性は大きい。

◆異臭が健康に及ぼす影響

 飛行機は閉ざされた空間であり、異臭が他の乗客の健康へ影響し、頭痛や吐き気、さらには呼吸器系に重篤な影響が出る場合まである。アメリカのWEBメディア「Live and Let’s Fly」では、異臭の起こる原因として、体臭だけではなく、きつい香水や整髪料の使用だけでなく、マリファナ・トリメチルアミン尿症疾患などがあると紹介している。

 予防策として、飛行機に乗る際には、自分を守るためのアイテムを用意することも重要だ。マスクや消臭スプレー、好みの香水を用意して使用することで異臭を和らげることが出来る。例えば、持参したマスクに少量の香水をしみ込ませたティッシュを挟めばかなり耐えられるものだ。

 また、ヘッドフォンを使って音楽を聴くことで、精神的な負担を軽減することも可能となる。

航空会社の防衛

 エアライン側の対応にはどのようなものがあるのか。機内では、特に搭乗時にボーディング・アロマなどと宣伝することで客室内全体に香料を使用し、お客様を迎えるというサービスが行われたことがあった。

 これは幾度となくアイデアには上がったものの、乗客全員が心地よいと感じる香気を作るのはとても難しいという結論に至り、断念した航空会社がある。飛行機の搭乗時に音楽が流れる「ボーディング・ミュージック」は一般化し、搭乗時の一時的なものとして耳からの情報は受け入れられやすいものの、匂いの好みはとても複雑であることが関係しているようだ。

 布おしぼりが一般的であったころ、しみ込ませていたオーデコロンは、地中海の強い日差しをイメージさせるという「4711 ポーチュガル」であることが多かった。現在で残されているのは、一部のエアラインにてラバトリーに置かれたコロンやほぼ全てのエアラインで用意のあるソープの匂いであることが多い。

◆覚えておきたい約款の存在

 前回の記事で体格の良い客が隣に来た場合にも述べた内容であるが、エアラインには「運送約款」が存在する。これは輸送の責任範囲を述べた文章であり、この内容に準じることで、搭乗者の権利として快適な輸送を保証されており、同時にエアラインは利用者に快適な輸送環境を整える必要があることを述べている。

 主な対応としては、満席便以外であれば座席の変更がある。飛行中のトラブルに備えて航空会社の運送約款や対応策を事前に確認しておくことが推奨される。ほぼどのエアラインもホムページの最下段から閲覧することができる。