[画像] 中国製ハイエンド陽子線治療装置、四川省綿陽市で完成

中国製ハイエンド陽子線治療装置、四川省綿陽市で完成

6日、四川省綿陽市でラインオフした、「中国製」商用マルチルーム陽子線治療設備230MeVサイクロトロン。(綿陽=新華社記者/張超群)

 【新華社成都11月14日】中国四川省綿陽市でこのほど、「中国製」商用マルチルーム陽子線治療設備がラインオフし、陽子線治療システムコアコンポーネントの国内での生産と統合が実現した。同市で開催された第12回中国(綿陽)科技城国際科技博覧会で明らかにされた。

 完成した陽子線治療設備は230メガ電子ボルト(MeV)サイクロトロン。中国原子力大手、中国広核集団(CGN)傘下の中広核核技術発展が投資して同市に建設し今年6月に完成させた中広核陽子線治療設備製造拠点で生産された。

 中広核核技術発展の子会社、中広核医療科技(綿陽)副総経理で、中広核陽子線医療戦略プロジェクト総設計師の段衛勝(だん・えいしょう)氏によると、同製造拠点は初期段階で年間3〜4台の陽子線治療システム供給能力を持っており、今回の設備の引き渡し後には中国国内にある複数の陽子線治療センター向けに設備の調整やテスト、運用、メンテナンスなどのサービスを提供するという。

中国製ハイエンド陽子線治療装置、四川省綿陽市で完成

6日、四川省綿陽市の中広核陽子線治療設備製造拠点内にある、「中国製」商用マルチルーム陽子線治療設備230MeVサイクロトロン。(綿陽=新華社記者/張超群)

 中広核核技術発展は2020年、世界をリードするベルギーの陽子線治療設備メーカーIBAからマルチルーム陽子線技術を完全に取得。4年の研究を経て、陽子線治療加速器の独自生産を初めて実現した。

 段氏は「陽子線治療は、腫瘍細胞に入った後にのみ放射線粒子のエネルギーを放出し、腫瘍細胞に対する『定点爆破』を実現する。腫瘍細胞を正確に消除する一方で副作用が少なく、人体の正常組織を保護しやすい」と紹介。CGNの陽子線治療設備は国産初の360度回転フレームを搭載しており、治療ベッドを移動させることなく角度を柔軟に調整して、患者の腫瘍部位に正確に照射でき、照射野の隣接を効果的に減らせると指摘した。このため、鼻咽頭部、頭頸(とうけい)部、腹部および骨盤腔(くう)などの腫瘍治療で明らかな優位性を持ち、治療室1部屋当たりの年間治療患者数は最大で延べ500人に達しうると明らかにした。

 CGNの高立剛(こう・りつごう)総経理は、陽子線治療システムの国産化、独自化を推進すると同時に、産業チェーン上流、下流の企業80社余りとの共同発展も促すとの考えを示した。(記者/張超群、高健鈞)