◆「我を通す」と「自己主張」の区別
比較的落とし所をつけやすいであろう、「食事のバリエーション」問題から違いを考えていきましょう。
ある夫婦のうち、日々似たような食事内容でも満足するAさんが、食事の用意を担当していて、その配偶者であるBさんが献立内容に不満を抱えているとします。
もしBさんが「我を通す」タイプであれば、「献立をもっと工夫してよ」「外食で済ませるからもう料理作らなくていいよ」などと言いそうです。Aさんから「献立を考えるのは大変なんだよ」「節約のためだから我慢して」など、理由はそれぞれでも、反発されるのが目に浮かびませんか?
「自己主張がない」タイプであれば、一人で外食を増やしたり、用意された食事を残してこっそりカップ麺を食べたりするかもしれません。一見すると、争いにならないように気を遣っているようですが、相手への不満を隠して溜め込んで、不和の火種を温存したり、相手が察してくれるのを待つだけの、身勝手なやり方です。
他方で、適切に自己主張ができる「どうしよっか?」使いの人なら、「実はたまには違うものも食べたいなと思っているんだけど、作ってくれるのはAだし、どうしよっか? 家事担当を変える? 外食する日を増やす?」といった表現になりそうです。
◆「どうしよっか?」でリードができる
このように、相手と自分の意向が異なるとき、頭から自分の意向を押し通そうとするのも、黙ってしまうのもいただけません。
衝突の多い夫婦は、一方あるいは両者がこのどちらかに該当しているために、話が平行線となっている可能性が高いでしょう。
「どうしよっか?」は例題のように、前後に相手への配慮が挟まれるワードでもあるので、使いこなせている人は意外と多くないのです。
そう表現すると、投げかける側の負担が大きいようにも感じられるかもしれませんが、発するほうにもメリットがあります。
「どうしよっか?」は相手をリードできる言葉なのです。したがって、「不満が大きい」「結局いつも相手の希望ばかりが通っている」と思う方ほど、積極的に発するようにしてみてください。
先述の例文でも、「どうしよっか?」以後、自分の理想的な解決策を優先的に展開することで、押し付けがましくなることはないながらも、段違いに意見が通りやすくなることでしょう。
◆化けの皮が剥がれる可能性は十分にある
夫婦間のお悩みや、離婚事由としてもっとも多く聞くのは、残念ながら「モラハラ・DV」被害です。
こればかりは被害者側が努力すべきことではなく、また努力で解決できるものとは言えません。モラハラやDVは、内弁慶で上下関係の意識を内面化した、意気地のない人が、強く当たれると思った相手に犯す非道な行為です。
そのため上下関係が固定されていない交際時に見抜くのは、残念ながら至難です。けれど、結婚前に少しでも違和感があれば、さよならを決めるに越したことはありません。
ただし、「どうしよっか?」を相互に言い合える関係かどうかは、ぜひ確かめておいてください。必ずしも万能ではありませんが、“内弁慶な意気地なし”の化けの皮が剥がれる可能性は十分にありますから。
主体性を持った大人同士の関係性を構築する手始めとして、「どうしよっか?」を使いこなしていけるようになっていきましょう。
<TEXT/植草美幸>
【植草美幸】
結婚相談所マリーミー代表取締役、恋愛・婚活アドバイザー。 1995年にアパレル業界に特化した人材派遣会社エムエスピーを創業。そこで培ったマッチング能力・人材発掘力を生かし、2009年に結婚相談所マリーミーを設立。日々カウンセリングを行いながら、セミナーの開催、テレビやラジオへの出演など幅広く活動中。著書に『ワガママな女におなりなさい 「婚活の壁」に効く秘密のアドバイス』(講談社)、『モテ理論』(PHP文庫)など
- 前へ
- 2/2
外部リンク日刊SPA!