今季、「黄金世代」の河本結(26歳)が鮮やかな復活を遂げた。
2019年にツアー初優勝を挙げ、翌2020シーズンからは米女子ツアーに挑戦したものの、アメリカのツアー生活に馴染めず2021シーズン途中で撤退。帰国後もしばらくは低迷し、昨シーズンは31試合出場で予選落ち16試合、棄権も3試合あった。
しかし今季は、QTランキング4位という好成績でツアーに参戦。開幕2戦は予選落ちも、以降は上位争いに何度も加わるようになって、8月のNEC軽井沢72でおよそ5年半ぶりとなるツアー優勝を飾った。この優勝によって、所属先のRICOHが特別協賛している最終戦のJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップへの出場も決まって、ホステスプロとしてのメジャー優勝への期待も高まっている。
それにしても彼女はなぜ、見事に復活を遂げることができたのか。JLPGAの永久シード保持者である森口祐子プロに話を聞いた――。
NEC軽井沢72でおよそ5年半ぶりの優勝を飾った河本結 photo by Getty Images
河本さんが2020年からアメリカのツアーに挑戦すると聞いたとき、彼女はメジャーのような難易度の高いセッティングでも怯まずに攻めていく姿勢を見せていましたし、明るくてチャーミングでスター性もありましたから、きっと活躍できるだろうなと思っていました。ところが、ちょうどコロナ禍と重なってしまって、練習環境なども含めて、なかなかうまくいかなかったようで、思うような戦績を挙げられずに日本に戻ってきました。
そして帰国後は、スコアもバラけていて、簡単にボギーになりそうな感じのゴルフでした。それが昨年の終盤あたりから、空気感が変わりつつあって。昨年末のファイナルQTでは4位という結果を残して、今季ツアーの出場権を獲得しました。
迎えた今季、トップ10フィニッシュを何度か重ねて、5月のブリヂストンレディス、8月の北海道meijiカップで、ともに今季大躍進の竹田麗央さんに続く2位。特に北海道meijiカップではショットの内容がよかったので、「すぐに勝つんだろうな」と思って見ていました。そうしたら、実際に翌週のNEC軽井沢72で優勝したんですよね。
NEC軽井沢72では、初日、2日目と「66」という好スコアを出して堂々の首位。ただ、最終日はノーバーディーの「73」と厳しい戦いを強いられました。結構いやらしいサイドにティーショットを外して、それで苦しいゴルフになってしまいました。
それでも、(ティーショットを)左サイドのバンカーに入れてしまった5番ホールでは、そこから手前の池を越してグリーンを狙っていく難易度の高いショットをしっかり打ってパー。そのほかのホールでも、しのいで、しのいで、という内容でした。
ショットメーカーの人がティーショットで苦戦し始めると、あきらめが早くなったりすることが多いのですが、彼女はそうした状況にあっても粘りのゴルフができた。それが、優勝につながったと思います。
明るい性格でスター性もあって、人にアピールする資質もある選手が、ノーバーディーで勝てるゴルフをやった。私は、そこに彼女の成長を見た、と思いました。
もともと攻めのゴルフに、粘りがプラス。つまり、たくましさが加わって、ゴルフの質が変わったな、という印象も受けました。今後の河本結さんのゴルフが、一段と楽しみになりました。