11日夜、中国・広東省のスポーツ施設で車が次々と人をはねました。一部メディアは10人以上が死亡したと報じていますが、地元警察は負傷者数などを明らかにしていません。
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「やばい! 人をひき殺している」
車が逃げ惑う人々の方へ…。暴走の瞬間を目撃者が捉えていました。
目撃者(香港メディアによる)
「車はクラクションを鳴らさず、スピードを落とさないまま集団に突っ込んだ」
この直前にひかれたのでしょうか、倒れた人に駆け寄る人たち。
「なんてこと…」
「助けて! こっち! 早く!」
地元警察はケガ人などの詳細を伝えていませんが、香港メディアは死者10人以上、100人近くがケガをしたと報じています。
マカオに隣接する中国南部の海沿いの都市、珠海市。広いビーチに南国を感じさせる街並み。多くの観光客が訪れる中国のリゾートで11日夜、暴走は起きました。
現場は地元住民がよくジョギングに訪れるというスポーツ施設です。発生当時もスポーツウエアを着た多くの人の姿がありました。“暴走車”はスポーツ施設を一周し、人々を次々にはねたといいます。現場から逃走しましたが、その後、警察が包囲。さすまたを持って駆けつける姿もみられました。
「(運転手が)まだ車の中にいる。刃物を持っている」
車を運転していたのは62歳の男です。地元警察によって拘束されましたが、動機など詳しい経緯はまだわかっていません。
日本人のケガ人はいないということですが、多くの死者・負傷者が出た無差別とも思える暴走事件。ただ、中国国内では…
渡辺容代記者(12日)
「当初、事件現場の写真が投稿されていたが、現在は見られなくなっている。投稿者は『発信することさえできない』と訴えています」
SNSでは事件の映像などが次々と削除される事態になっています。中国当局による言論統制とみられます。なぜなのか…
警戒しているとみられるのは、事件があった珠海市で12日から開幕した「航空ショー」への影響です。暴走が起きたスポーツ施設はこの会場へ向かうシャトルバス乗り場となっていて、新型戦闘機の公開など、世界に軍事力をアピールする狙いがある「航空ショー」に水を差さないよう警戒したとの見方もあります。
中国ではここ数か月、子どもや不特定多数を狙った事件が各地で相次いでいて、そのたびに中国当局は犯人の動機や背景などを明らかにしていません。今回の暴走事件も、捜査の進展が明らかになるかは不透明なままです。