[J1第36節]京都 1−1 川崎/11月9日/サンガスタジアム by KYOCERA
敵地で京都と対戦した川崎は先制するも、終盤にPKで追いつかれてドローで試合を終えた。
他会場で磐田が敗れたため、J1残留を決めたが、10月16日に8年指揮した鬼木達監督の今季限りでの退任が発表されて以降、先日のACLでは勝利を掴んだものの、リーグ戦は2分1敗となった。
4日前にはACLエリートで、中国リーグを制してから中2日で臨んできた上海海港にホームで3−1で競り勝ち、指揮官の退任発表後では、4戦目にして初白星を掴んだ。だが、一息ついて臨んだ京都戦で勝ち切ることはできなかった。
序盤から互いの持ち味を出し合ったハイテンポな展開が続いたなか、鬼木監督は後半頭に3枚替えを決断。 大島僚太、家長昭博、山田新を投入すると、59分に大島のフィードに抜け出した山田が冷静に今季16点目を流し込み、先制に成功した。
しかし、終盤にVARの介入によりハンドでPKを与え、一度はGKチョン・ソンリョンがセーブするも、相手のキックより先にゴールラインを出たということで、蹴り直しを宣告され、ラファエル・エリアスに決められた。
勝ち切れなかったゲームを指揮官も悔しそうに振り返る。
「前半は得点チャンスがなかなか生まれませんでしたが、我慢したなかで後半に先制することができましたので、勝ち切りたかったゲームではあります。ただ、同点に追いつかれたあとも身体を張って、連戦の最後でしたがよく頑張ってくれたと思います。
前半はスタートから前へ前へという選手が多かったですが、それは自分が求めていたことなのでよくやってくれたと思います。ただ行ったり来たりという難しい展開になっていたので、縦が速かったですが、もう少し横の揺さぶりが出てくれば良かったと感じます。そういう意味で(ハーフタイムに)3人を交代しました。ただ、前半に出ていた3人が悪かったわけではなくミーティングからどんどん選手を代えていくという話をしていたので、後半はボールの落ち着きと前でポイントを作りたかったというところです。
1-1というのは悔しいです。特に最後のほうは押し込んだシーンも数多くありましたし、最後の質のところが勝負じゃないかという話は(選手に)しました。ただ試合全体を通すと質の部分で、普段起こらないようなミスも多くありましたので、そこは反省点です。
ゴールを取るためのアイデア、最後はクロスだけになってしまってGKがキャッチするシーンも多くありました。もうひとつえぐったあとの迫力や人数のかけ方も、ゴール前でこぼれたシーンで相手のほうが人数が多かったりしたので、まだまだやらなければいけないと思っています。ただ疲労もあったと思うので、疲労が出ないぐらいの質を求めて、あと数試合しかないですが、そこはやり続けるべきところだと思います」
【動画】京都戦の川崎のゴール
鬼木体制で戦うゲームも残すところ5試合だ(リーグ3試合、ACLエリート2試合)。順位的(12位)にも、来季への想い的にも、なかなか難しいメンタルで過ごすことになるが、指揮官は集大成としてどうチームを導こうとしているのか。想いを訊けば、らしい言葉が返ってくる。
「自分自身としてはひとつでも上を目指したいです。あとは勝ちと同じくらい、サッカーで観ている人を魅了したいという想いがあります。逆に言えば、それがあるからこそ勝ちにつながると思っているので、そのことを徹底して伝えていきたいです。
残り試合が少なくなってきましたが、選手自身が楽しむことが勝利につながると思いますし、楽しむことと勝つことは別ではないというのを貫いていきたいです。そのためには得点が必要になってきますし、みんなと喜び合えるのが得点だと思います。それを何回も出せるようなサッカーをしていきたいです」
ここからは中断期間も挟む。その時間で改めてチームの指針を整え、リーグ戦でも勝利を飾れるか、注目だ。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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