◆1日の収入は「平均1万円」。最高額は…

毎日のように路上に立ち、褒めのブラッシュアップを重ねる褒めますおじさん。褒め活動での収入はどのくらいあるのか気になるところ。

「日によってまちまちですが、平均すると1日1万円くらいだと思います。つい先日、最高額が出て4万3千円でした。最後に来られたのが会社を経営されている方で『近くで従業員と飲んでいて、いつもお世話になっているから一人一人を褒めて欲しい』と言われて、お店まで行って皆さんを褒めさせてもらい、3万円いただきました」

こうなると、一人で生活するには事足りる収入になりそうだが、褒めますおじさんはどのような生活をしているのだろうか。

「家がないので、いただいた投げ銭でネットカフェやビジネスホテルに泊まって生活しています。この活動を始める前までは実家に住んでいたんですが、ローンが払えなくなってしまって家がなくなりました」

借金は最大600万円も「毎日楽しく過ごせている」

褒めますおじさんは路上生活をしながら活動を続けている。その経緯は波乱万丈だ。

「僕は18歳のころから、パチンコや競輪にハマっていました。販売員や建設業、解体業などの仕事はしていたんですが、給料もギャンブルに使い込んで借金も増えていって。当時は返済よりもギャンブルを優先する状態でした。借金は最大で600万円くらいあったと思います」

借金が増えたところで、実家に暮らしていたため衣食住は安泰かと思っていた。だが、父親が脳梗塞で倒れてしまい、ローン返済が滞るように。そうして、路上生活を余儀なくされることになったのだ。他人を褒めるにはポジティブなエネルギーが必要になる。自分の人生に後悔があると、ガス欠になってしまいそうに思えるが。

「多少、ギャンブルをしすぎたなとは思っていますが、後悔はしていません。こうなったのも自業自得なので。今を大事にしていければいいかなと思っています。自分のやりたい事をやって行きたいところに行けているので、毎日楽しく過ごせています!」

今後、その収入を元手に、家を借りて路上生活を脱する目処は立っているのだろうか。

「正直言って家を借りることは考えていません。それよりも褒める活動を47都道府県全てでやりたいという思いが強いです。東京から交通の便がいい大きな都市は全部行って、31都道府県まで来ているので、全国での達成に向けて頑張っています」

今回はオンラインの取材であったが、携帯回線を契約していないため、中古で買ったスマートフォンを街のフリーWi-Fiにつないでの対応だった。無頼な生き方を貫く姿は、たくましいの一言。いつか対面で褒めてもらいたいものである。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。