[ワシントン 5日 ロイター] - 米商務省が5日発表した9月の貿易収支の赤字額は前月比19.2%増の844億ドルだった。前月の改定値は708億ドルだった。旺盛な国内需要を満たすためのほか、物品への関税引き上げを見越して企業が輸入を増やしたことにより、赤字額は大幅に拡大した。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は841億ドルの赤字だった。
米大統領選共和党候補のトランプ前大統領は、勝利した場合、中国からの輸入品に60%の追加関税を課すほか、全輸入品に10%以上の関税をかける考えを示している。
オックスフォード・エコノミクスの米国シニアエコノミスト、マシュー・マーティン氏は「データセンターや半導体への投資が資本財の輸入を支え、強い消費が小売業者に在庫の積み増しを迫るため、短期的には輸入が輸出を上回ると予想している」と述べた。
輸入は3.0%増加し、過去最高の3523億ドルとなった。財(モノ)の輸入は4.0%増の2850億ドルとなり、2022年3月以来の高水準を記録した。医薬品を中心とした消費財の輸入が40億ドル増加したことが主因だった。
資本財の輸入はコンピューターと半導体が寄与し28億ドル増加。過去最高となった。原油を含む工業用品および材料の輸入は22億ドル増加した。自動車、部品、エンジンの輸入は12億ドル増加した。
食品輸入も188億ドルで過去最高となった。
一方、サービス輸入は6億ドル減少して673億ドルとなった。知的財産権使用料が8億ドル減少、旅行サービス輸入も2億ドル減少した。運輸サービス輸入は3億ドル増加した。
輸出は1.2%減の2679億ドル。財輸出は1.8%減の1760億ドルで、資本財(主に民間航空機)の19億ドル減が重しとなった。消費財輸出は医薬品の減少により14億ドル減少した。
工業用資材および原材料の輸出は14億ドル減少。原油は13億ドル、その他の石油製品は5億ドル減少した。
サービス輸出は、保守・修理サービスが2億ドル減少したことを反映して1億ドル減の919億ドルとなった。政府財・サービスは1億ドル増加、運輸サービスは1億ドルの小幅増加となった。
財の貿易赤字は14.9%増の1090億ドルとなり、これも22年3月以来の高水準となった。インフレ調整後では、財貿易赤字は13.1%増の1001億ドルだった。
中国との財の貿易赤字は269億ドルに拡大した。8月は247億ドルだった。
貿易は第3・四半期の国内総生産を0.56%ポイント押し下げた。3四半期連続で経済成長の足かせとなっている。