オリックス・古田島成龍投手(25)は1年目の今季、50試合に登板して2勝1敗、24ホールド、防御率0・79と圧倒的な成績を残した。ビハインドや大差がついた展開での登板から首脳陣の信頼をつかみ、勝ちパターンを担うまでに成長した。「ウソみたいです」と充実の1年を振り返り、来季は「幸せなポジション」と語る勝ちパターンでの完走が目標。今季以上の成績を残し、2年目のジンクスをぶち破る。
大ピンチを切り抜けた時、飛び上がるほど感情を爆発させる。そんな古田島の姿は、今季おなじみの光景となった。胴上げ投手のようなアクションから「古田島優勝」のフレーズがSNSでも急拡大。1年間、フル回転し「必死にやってきた結果です」と胸を張った。
パ・リーグでは、新人史上初の50試合登板&防御率0点台。「ウソみたいです。最初はここまで投げられると思いませんでした」。プロ初登板は4月6日・ロッテ戦(ゾゾ)。8点リードの九回からの登板で、その後の試合も大差かビハインドの展開の登板が続いた。
与えられた場所で結果を残して首脳陣の信頼を勝ち取り、競った場面の登板を託されるようになって今季途中から勝ちパターンの座を確立した。 リリーフのやりがいを感じたという。それは緊迫した場面の登板。人一倍燃えるものがあった。
「自分が行く時はだいたい流れを変えてほしい場面。流れを変えてやろうというのもそうですし、負けている場面、同点の場面で登板して勝ったりもしました。自分の理想は流れを引き寄せるピッチング。少しでもそういう仕事ができたのかなと思っています」
一打出れば同点、逆転のピンチや絶体絶命の状況の中、アドレナリン全開で打者をねじ伏せる。古田島にとって救援の魅力を感じる瞬間だった。
来季の目標は勝ちパターンでの1軍完走、そして成績向上だ。「中継ぎで勝ちパターンは、一番幸せなポジション。僕よりはるかにいいピッチャーばかりなので、自分でつかみとらないといけないです」。2年目の来季はデータなども集まり、より打者のマークが厳しくなる可能性が高い。
自身も「現実的には厳しくなるでしょうね」と覚悟はしているが、それでも打たれるつもりはさらさらない。「逆に楽しみでもあります。相手も対策してくる中で50試合以上投げて、防御率0点台はめっちゃ厳しいと思いますが、その方がやりがいも感じるので」と前向きに捉え、2年目のジンクスを打破するつもりだ。
オフ期間は蓄積疲労を取り除く時期に充てつつ「やることはたくさんありますので、一つずつ課題をつぶしていきたい」と決意。「ビギナーズラック」と振り返った今季以上の成長を遂げ、球界を代表するリリーバーに駆け上がる。
◆古田島 成龍(こたじま・せいりゅう)1999年6月29日生まれ、25歳。茨城県出身。175センチ、85キロ。右投げ右打ち。取手松陽、中央学院大、日本通運を経て23年度ドラフト6位でオリックス入団。プロ初登板から22試合連続無失点はNPBタイ記録。名前の「成龍」は母親が大ファンだというジャッキー・チェンの漢字名から。(デイリースポーツ・関谷文哉)