◆“ノルマを課さない”斬新なビジネスモデル
ミュゼプラチナムは、数奇な運命を辿った会社として知られています。
革新的だったのはそのビジネスモデル。ミュゼが登場する前の美容業界はエステティシャンに厳しいノルマが課されていました。しかし、ミュゼはノルマや無理な勧誘をしないという決断をします。さらに返金対応を行うという、常識破りの仕組みを導入しました。
これによってスタッフは施術に専念でき、利用者は安心して契約ができます。しかし、このモデルを成立させるためには、大量の広告を投下して利用者を集め続けなければなりません。
ミュゼは2010年ごろにトリンドル玲奈さんをメインキャラクターとし、大々的な広告キャンペーンを行って知名度を高めました。
◆「経営破綻寸前」から買収・売却のループに
ところが人気化したゆえ、トラブルも頻発します。やけどなどの苦情が相次ぐようになるのです。2015年に経営破綻寸前だとのニュースが飛び交うようになると解約件数が増加。その年の10月に任意整理の協議に入ったことを当時の運営会社社長が明らかにしました。過大な広告費が経営の誤りであったと振り返っています。
2016年1月に医療機関向けソフトウェアなどを提供するRVHがミュゼを買収しました。しかし、2020年2月に早くも売却を決めています。やはり継続的な広告投資がかかることを懸念しての譲渡の決定でした。買収したのはG.Pホールディング。この会社の筆頭株主は「たかの友梨ビューティ―クリニック」で有名な美容研究家の高野友梨氏でした。
それから3年後に船井電機へと売却され、今回の騒動となりました。
今後の行く末は、秀和システムやKOC・JAPANが、サイバー・バズが求める支払いに応じるかどうかが一つのポイントとなるでしょう。
<TEXT/不破聡>
【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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外部リンク日刊SPA!