「女性レポーターがマイク片手に現場から取材している映像でした。注視すると、どうやら傷害事件の続報が入ったようでした。レポーターの声をバックに、事件当日の現場映像が繰り返し流れていたのですが、次の瞬間目を疑いました。私とA子さんが映っているんです。しかも手つなぎで」

 チャンネルを変えようと、慌ててテレビリモコンを手に取った須藤さんに、沙也加さんが一言「本当、あれパパだね」と言うと、莉音ちゃんも「パパ、あのお姉さんとお友達なの?」と無邪気な質問をする始末に。

◆すべては自分に責任がある

 テレビはすでに天気予報に変わっていましたが、「え、なんで? あれ誰?」と、声を殺しながらも、今にも発狂しそうな沙也加さん。「いや、ちがうんだ、あれはただ……」と答えるしかない須藤さん。

 言い訳はすでに通用しないと判断した須藤さんは、大声で「ごめんなさい」と言い土下座しました。しかし、時すでに遅しで何の反応も見せなかった沙也加さん。浮気うんぬんより、裏切られたことにショックを隠せない様子でした。

「あの映像での手つなぎは、たまたまA子さんが段差につまずきそうになったから思わず手を握ったのです。ラブホ街を歩いていたのは、Google Mapの指示通りに歩いていただけなんです。だから、A子さんとは何もありません。でも、すべては自分に責任があるので根気強く謝罪するつもりです」

 ただ、この出来事から半年以上たった今でも仮面夫婦から脱却できていないのだとか。

<TEXT/ベルクちゃん>

―[ラブホの珍ハプニング]―

【ベルクちゃん】
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営