この夏、『地面師たち』(Netflix)と『新宿野戦病院』(フジテレビ系)という話題を集めた2作品で、唯一無二の存在感を放った小池栄子さん。
一昔前の彼女を知っている世代からすれば、“バラエティスキルの高いグラドル”というイメージだったでしょうが、若い世代からすれば“番組MCもできる個性派俳優”というイメージになるのではないでしょうか。
今回は年間・約100本寄稿するドラマ批評コラム連載を持つ筆者が、小池栄子さんのこれまでのキャリアを振り返りつつ、『地面師たち』と『新宿野戦病院』での演技の魅力について紹介していきます。
◆グラドル時代の“とんでもないキャッチフレーズ”
小池さんが民放GP帯(ゴールデン・プライム帯)の連続ドラマ初主演を飾ったのが、1年前となる2023年10月期ドラマ『コタツがない家』(日本テレビ系)でした。20代で主演の座を射止める女優が多いことを考えると、当時42歳だった小池さんは女優としては遅咲きと言えるかもしれません。
17歳のとき、「宇宙一のメロンパイ」というキャッチフレーズを引っ提げてグラビアデビューした小池さんは、頭の回転の速さと切れ味鋭いコメント力でバラエティ番組に引っ張りだこになっていきます。
◆名演・怪演を重ね、今年の2作品でさらに評価を高めた
俳優業で評価されはじめたのは2000年代中頃から。2003年の映画『恋愛寫眞 Collage of Our Life』や2004年の映画『下妻物語』などの演技が評価され、2008年には主演映画『接吻』にて、ニュースで観た殺人鬼に惹かれて獄中結婚する常軌を逸したヒロインを怪演。「ヨコハマ映画祭」などで主演女優賞を受賞しました。
2014年の連続テレビ小説『マッサン』や、2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』といったNHKの国民的ドラマ枠への出演も重ね、昨年、満を持して『コタツがない家』でGP帯連ドラの初主演。
そんな小池さんが今夏、『地面師たち』と『新宿野戦病院』でさらに俳優としての評価を高めたのです。
◆Netflix6週連続1位の『地面師たち』
豊川悦司さんと綾野剛さんのダブル主演で、Netflixの日本トップ10(テレビ部門)にて、7月25日の配信開始から6週連続1位という記録を打ち立てたNetflixオリジナル作品『地面師たち』。2017年に実際に起きた「積水ハウス地面師詐欺事件」から着想を得た、不動産詐欺集団・地面師を題材にした全7話のクライムサスペンスです。
豊川さん演じる主人公・大物地面師を中心に交渉役、法律屋、手配師、情報屋、ニンベン師など裏社会のプロフェッショナルで結成された地面師チーム。彼らが前代未聞の時価100億円超の土地をエサにして、大手デベロッパーに詐欺を仕掛けて巨額を巻き上げるまでを描いています。
◆良い意味でドタバタコメディ味もある
小池さんが演じたのは、地面師チームの一員の手配師・麗子。地主になりすます人物のキャスティング担当でした。手配師はなりすまし候補者を探してスカウトし、地主の個人情報や不動産情報を叩き込むところまでが役割。
そのため本来ならば交渉の場には出向かないのですが、土壇場でキャスティングした女性が降りたため、イレギュラーで自身が100億円超の土地の地主であり、由緒あるお寺の住職を演じることに。
麗子が急遽頭を丸めて尼僧に扮した交渉の場は、小池さんのメリハリの効いた演技によって絶妙なバランスで緊張と緩和が成立。シリアスで緊迫感のあるシーンの連続なのですが、良い意味でどこかドタバタコメディ味もあり、没入感がハンパありません。
余談ですが、地面師チームはアクの強い人格破綻者が多いので、実は情にもろい一面も持つ麗子は主要キャラのなかでは常識人的ポジション。それゆえに麗子はインパクトのあるセリフなどはあまりないものの、クレイジーな地面師たちのなかでは感情移入しやすいキャラとなっており、作品の世界観に現実味を持たせる役割も担っていたように感じます。
一昔前の彼女を知っている世代からすれば、“バラエティスキルの高いグラドル”というイメージだったでしょうが、若い世代からすれば“番組MCもできる個性派俳優”というイメージになるのではないでしょうか。
今回は年間・約100本寄稿するドラマ批評コラム連載を持つ筆者が、小池栄子さんのこれまでのキャリアを振り返りつつ、『地面師たち』と『新宿野戦病院』での演技の魅力について紹介していきます。
◆グラドル時代の“とんでもないキャッチフレーズ”
小池さんが民放GP帯(ゴールデン・プライム帯)の連続ドラマ初主演を飾ったのが、1年前となる2023年10月期ドラマ『コタツがない家』(日本テレビ系)でした。20代で主演の座を射止める女優が多いことを考えると、当時42歳だった小池さんは女優としては遅咲きと言えるかもしれません。
17歳のとき、「宇宙一のメロンパイ」というキャッチフレーズを引っ提げてグラビアデビューした小池さんは、頭の回転の速さと切れ味鋭いコメント力でバラエティ番組に引っ張りだこになっていきます。
◆名演・怪演を重ね、今年の2作品でさらに評価を高めた
俳優業で評価されはじめたのは2000年代中頃から。2003年の映画『恋愛寫眞 Collage of Our Life』や2004年の映画『下妻物語』などの演技が評価され、2008年には主演映画『接吻』にて、ニュースで観た殺人鬼に惹かれて獄中結婚する常軌を逸したヒロインを怪演。「ヨコハマ映画祭」などで主演女優賞を受賞しました。
2014年の連続テレビ小説『マッサン』や、2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』といったNHKの国民的ドラマ枠への出演も重ね、昨年、満を持して『コタツがない家』でGP帯連ドラの初主演。
そんな小池さんが今夏、『地面師たち』と『新宿野戦病院』でさらに俳優としての評価を高めたのです。
◆Netflix6週連続1位の『地面師たち』
豊川悦司さんと綾野剛さんのダブル主演で、Netflixの日本トップ10(テレビ部門)にて、7月25日の配信開始から6週連続1位という記録を打ち立てたNetflixオリジナル作品『地面師たち』。2017年に実際に起きた「積水ハウス地面師詐欺事件」から着想を得た、不動産詐欺集団・地面師を題材にした全7話のクライムサスペンスです。
豊川さん演じる主人公・大物地面師を中心に交渉役、法律屋、手配師、情報屋、ニンベン師など裏社会のプロフェッショナルで結成された地面師チーム。彼らが前代未聞の時価100億円超の土地をエサにして、大手デベロッパーに詐欺を仕掛けて巨額を巻き上げるまでを描いています。
◆良い意味でドタバタコメディ味もある
小池さんが演じたのは、地面師チームの一員の手配師・麗子。地主になりすます人物のキャスティング担当でした。手配師はなりすまし候補者を探してスカウトし、地主の個人情報や不動産情報を叩き込むところまでが役割。
そのため本来ならば交渉の場には出向かないのですが、土壇場でキャスティングした女性が降りたため、イレギュラーで自身が100億円超の土地の地主であり、由緒あるお寺の住職を演じることに。
麗子が急遽頭を丸めて尼僧に扮した交渉の場は、小池さんのメリハリの効いた演技によって絶妙なバランスで緊張と緩和が成立。シリアスで緊迫感のあるシーンの連続なのですが、良い意味でどこかドタバタコメディ味もあり、没入感がハンパありません。
余談ですが、地面師チームはアクの強い人格破綻者が多いので、実は情にもろい一面も持つ麗子は主要キャラのなかでは常識人的ポジション。それゆえに麗子はインパクトのあるセリフなどはあまりないものの、クレイジーな地面師たちのなかでは感情移入しやすいキャラとなっており、作品の世界観に現実味を持たせる役割も担っていたように感じます。
- 1/2
- 次へ
外部リンク女子SPA!