―アミューズメント施設の集客に貢献、24時間楽しめるオンラインゲームの人気も継続―

 街なかから「ゲームセンター」が姿を消している。帝国データバンク(東京都港区)が今年4月に発表した「『ゲームセンター』の倒産・休廃業解散動向」によると、 アミューズメント施設「ゲームセンター」の倒産や休廃業などが、2023年度には計18件発生し22年度の15件に続いて2年連続で増加した。ゲームセンターの店舗数は10年間で8000店舗近くが減少しているという。

 街なかのゲームセンターが姿を消す一方で、 ショッピングセンター内などに展開する大型チェーン店が出店規模を拡大させている。いまやゲームセンターの約6割はショッピングセンター内に設置されているとされ、こうした店舗では特にクレーンゲームが人気だ。その勢いは今後も続くとみられており、関連企業のビジネスチャンスも続きそうだ。

●クレーンゲーム市場は10年間で7割増

 アミューズメント施設といえば、かつての主力はテレビゲームやメダルゲームだったが、現在ではクレーンゲームなどのプライズ(アミューズメント専用景品)ゲームへ主役の座が移っている。

 動画配信の普及でアニメを見る機会が増え、それぞれの作品にファンが付くとメーカーもぬいぐるみなどのグッズを制作。それにより景品の幅が広がっていることに加えて、プライズゲームで獲得できる景品の多くはオリジナルの「限定品」であることなどが人気の理由とされる。クレーンゲームの景品の取り方を解説するYouTuberの人気や「推し活」ブーム、更にはインバウンド需要も追い風となっており、施設によっては売上高の7割以上をプライズゲームが占めるところもあるという。

 日本アミューズメント産業協会(東京都千代田区)によると、21年度のクレーンゲーム市場は2811億円とされ、前年比で26.1%増、10年前から約7割増加した。ユーザーの嗜好の変化に対応し、施設側が常に新しい景品をそろえていることも人出を呼び込んでいる。

●ファミリー層取り込み利用層が拡大

 かつてのゲームセンターは、利用客の中心は若年層の男性だった。「ゲームを楽しむ」ために来店する利用客のほか、「時間をつぶすために入店した」という利用客も少なくはなかった。

 一方、ショッピングセンター内にある最近のアミューズメント施設の主力はファミリー層だ。こうした利用客の多くは、買い物のついでも多いが、クレーンゲームの景品を目当てに来る利用客も多い。16年の「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(風適法)の改正により、保護者同伴による年少者の入場規制時間が緩和されたことで、保護者同伴であれば「16歳未満の18時以降の入場」が可能になり、より幅広い層の人々が楽しめる場所となったことも利用客の増加につながった。

 また、集客力のあるショッピングセンターや大規模複合施設への出店で店舗が大型化し、設置できる機械の台数が増えたことで、より幅広いニーズに対応していることも利用層の広がりに貢献しているようだ。

●オンラインクレーンゲームも人気

 ファミリー需要を取り込み、ショッピングセンターなどのゲームセンターのクレーンゲームが人気となる一方、近年では、「オンラインクレーンゲーム」の人気も高まっている。