金融機関から他社との協業を検討するよう進言されたのが2023年2月。この経営判断のミスが後のワールド買収の引き金となっていたことがわかります。

 ライトオンは数十店舗の退店を重ね、販管費を抑える堅実な経営を続けていました。それを粛々と続けていれば、形は少し違っていたかもしれません。

◆不採算店の整理が遅れたのは痛手だった

 マックハウスは営業赤字に陥った2019年2月期以降も2桁台の退店を続ける一方で、同じく2桁台の出店を重ねていました。2023年2月期は20店舗を新規出店し、1.6%の増収にはなりました。しかし、計画していた1割の増収には届かずに7億円を超える営業赤字を出しています。

 本格的な不採算店の整理を進めたのが2024年2月期に入ってから。49店舗を閉鎖し、出店を7に抑えました。しかしその動きが遅すぎたのは、現在の財務状況の悪さが物語っています。

 アメカジブームは1980年後半から始まり、1990年に最盛期を迎えました。40代から50代が強く影響を受けています。ライトオンやマックハウスはその世代への知名度はありますが、若年層にはほとんど知られていません。ここが一番のポイント。

 2社は上場を維持することから、これからも成長を続けて株主に還元するという責務を担っています。ターゲットに寄り添うのか、新たな顧客層の開拓に動くのか。再編後の経営戦略が成長のカギを握ります。

<TEXT/不破聡>

【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界