[画像] 石破首相「離れたところから話をするがお許しください」…厳重警備の街頭演説、聴衆と距離

 東京・永田町の自民党本部前に火炎瓶が投げ込まれた事件を受け、警察当局や陣営が衆院選の街頭演説時の警備に神経をとがらせている。石破首相(党総裁)らの演説会場には金属探知機が投入され、安全確保が優先されている。

 青木一彦官房副長官は21日の記者会見で、「選挙は民主主義の根幹。暴力に屈することがあってはならない」と事件を非難し、要人警護などに万全を期すよう全国の都道府県警に指示したことを明らかにした。

 首相は21日、奈良市のJR奈良駅前の演説の冒頭、「離れたところから話をするがお許しください」と断り、自民候補への支持を呼びかけた。選挙カーはロータリーの壁側に止め、首相の背後と足元には防弾用の壁が設置された。聴衆には金属探知機による手荷物検査があり、車から約30メートル離れた場所で演説を聴いた。

 立憲民主党の野田代表は同日、札幌市で街頭演説した。建物の壁を背に立ち、側面には防弾用の黒いスクリーンが設けられた。9月の代表就任後、警視庁の警護員(SP)が配置されており、この日は聴衆とフェンス越しに握手した。野田氏は訪問先の秋田市で記者団に「有権者との距離が遠くなり、残念」と述べた。

 衆院選で厳重な警備が敷かれるのは、国内外で要人の襲撃事件が相次いでいるためだ。2022年7月の参院選では、奈良市で街頭演説していた安倍晋三・元首相が銃撃され、死亡した。米国でもトランプ前大統領が7月、演説中に銃撃されている。