間取りを見ると、「フィリピンパブ」「モテ部屋」といった奇妙な名前のスペースも。
「ふざけた名前を付けただけで、どちらもただの個室です。モテ部屋は、‟モテる男の部屋”(笑)。内装は板張りで、友達の大工さんにDIYを頼みました。僕はDIYとか出来ないので、仕事として頼んで、そこで経済を回せたらと思って。フィリピンパブ部屋は飲みスペースです。僕が勝手に名付けたので、妻にはすごく嫌がられていますけどね(笑)」
◆絶景をひとり占めできる露天風呂がウリ
屋根裏を活用した「忍者部屋」などもあり、宿には遊び心が盛りだくさんだ。個室利用者のみが使える露天ヒノキ風呂では、雄大な自然を眺めながら湯に浸かることができる。
コロナ以前は屋内外の土地を活用して、さまざまなアクティビティを開催していた。今は時勢を考慮し、イベント事は控えているそうだ。
「このご時世なので、たくさん人が賑わうような活動はできないですね。宿業やイベントは特に頑張らず、来てくれる人だけを受け入れています。それでも、小さくではありますが盛り上がっていますよ」
宿泊者からのクチコミは上々で、「親戚の家に来たかのような暖かみがある」「ワーケーションで来たが、絶景すぎて仕事が捗らない」といった声が寄せられている。
◆破天荒なオーナーの自由すぎる経営ビジョン
まだまだ終わりの見えないコロナ禍。坂本さんは今後、どのように宿を切り盛りしていこうと考えているのだろうか。
「宿をいったん人に任せて、僕自身は前代未聞のチャレンジをする予定です。お茶農家として八女茶を売りながら、歩いて日本横断の旅をします。その間、妻と子供は里帰りさせてあげようかなと。そのために今、代理オーナーを探しているところです。既に10人くらい応募が来ています。どうやって選ぼうか悩みますね(笑)」
自然あふれる環境だからこそ叶えられた、“人とのつながり”で成り立つ自由なオーナー業。お茶の行商を通じて、今度はどんな新しい風を地域に呼び込むのだろうか。坂本さんの今後の活動に注目だ。
<取材・文/倉本菜生>
【倉本菜生】
福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0
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