呼び出しの理由は、A氏の不動産屋とアリバイ屋の利用者が、ある殺人事件の捜査線上に容疑者として浮上したとのことだった。

「ただし、物的証拠がないので、警察側もどうにも動けなくて、最後の頼みの綱でうちに連絡したそうです。でも、そのお客様とは賃貸契約以外の接点は全くなかったので、すぐに話は終わりました」

◆根本的な解決のための次の道を模索

通常の不動産業務とは別に、こういったトラブル対応にも追われる毎日。最近、感じるのは、「賃貸契約のしにくい人々を助け続けるのはいいけれど、根本的な解決にはなっていない」という歯がゆさだ。

「色々とハードルはありますが、僕自身がオーナーになって、ナイトワーカーたちに物件を貸し出せたらと考えています。あとは、マネーリテラシーの教育や資産運用の仕方も教えられたらいいですね。

 というのも、ナイトワーカーたちが賃貸契約しにくいという状況はすぐには変えられないので、ちゃんとお金に関する知識を得て、申告や管理もきちんとやって、自分で自分の財産を守れるようになってほしいです。そして、職業に関係なく、誰もが安心して暮らせる部屋を手にいれられる。そんな社会になってほしいですね」

<取材・文/安倍川モチ子>

【安倍川モチ子】
東京在住のフリーライター。 お笑い、歴史、グルメ、美容・健康など、専門を作らずに興味の惹かれるまま幅広いジャンルで活動中。X(旧Twitter):@mochico_abekawa