「弟の預金口座の残高はわずか数百円で、財布の中には万札が3枚と5000円札が1枚入っていただけでした。裏切られた悲しさとあまりの情けなさに途中から母は泣いていました」

 さらに大学の単位も2年次は8単位しか取っていなかったことが発覚。3年になってからは大学にはほぼ行っておらず、もともと出席を取らない数科目を除いて出席率の関係で全部アウト。この時点で4年での卒業は不可能な状況となっていた。

「それを聞いて父がブチ切れて、『通ってないなら大学は辞めてもらう』と宣言。翌日、借金を清算した上で弟を連れて実家に戻り、次の週末に私がひとりで再び弟のアパートに行き、部屋を引き払ってきました」

◆実家に連れ戻され、親族が経営する工場へ

 実家へ連れ戻された弟は親族が経営する工場で働かせ、給料は両親が管理。並行して専門のクリニックでギャンブル依存症の治療を受けていたという。

「その後、なんとか立ち直って昨年結婚。今は奥さんが給料を管理し、賭け事とは無縁の生活を送っています。弟も『あのころの自分はおかしかった』と認めていますが、一歩間違えばあのまま破滅してもおかしくなかったはず。特に兄弟仲が良いわけではないですが、無事に社会復帰したので兄としてはホッとしています」

 小遣いの範囲内で遊ぶならいいが、自制が利かなくなる人が多いのがギャンブルの怖いところ。ひとり暮らしをする大学生の子供が家賃、学費を自分から振り込むと言い出した時は注意したほうがよさそうだ。

<TEXT/トシタカマサ>

【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。