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強制性交等などで7度の逮捕
「私は、自分のコントロールができずに、欲のおもむくままに行動してしまいました。その欲とは、所持していた児童ポルノの動画に映っているようなことと同じようなことをしてみたいという性的な欲求です」
’24年9月24日、東京地裁で開かれた第5回公判のなかで弁護人の「なぜ、起訴されたような行為をしてしまったのか」という質問に、元保育士の長田凪巧(おさだなぐみ・27)被告はそう答えた。
長田被告は、勤務していた都内2ヵ所の認可保育園で、7人の園児(起訴された順にA〜Gちゃん)に性的暴行を加えてその様子を撮影したとして、強制性交等や児童ポルノ禁止法違反などの罪に問われている。
「長田被告は’17年から保育士として働くようになり、’22年4月からは自身の父親が園長を務める保育園に移って勤務していました。’24年1月17日に園児に性的な暴行を加えたとして逮捕されましたが、同様の犯行を繰り返していたことが発覚。再逮捕を繰り返し、最終的に7回逮捕されています。
長田被告の親族には保育士が多く、父親とは別の保育園を経営する親族もおり、検察官は『いわば、保育士一家』と表現しました。長田被告も父親の保育園を継ぐことになっていて、自身が保育士になった理由を『敷かれたレールに乗った』と表現していました」(全国紙社会部記者)
第5回公判では、長田被告に対する被告人質問が行われた。
長田被告が初めて犯行に及んだのは、保育士になって5年目の’21年末ごろ、担任をしていたクラスのGちゃんに対するものだった。きっかけは「昼寝をしているGちゃんの寝相が児童ポルノの映像と重なり、性的なものを感じた」ことだったと長田被告は答えた。
「当初はそこに対して、性的な欲求は覚えていませんでした。しかし、その日常の中で起きた非現実的なことに、だんだん欲を覚えてしまって、犯行に及んでしまいました」(長田被告)
自分のコントロールができず……
なぜGちゃんの寝相を見て、性的暴行を加えるという発想になり、行動に移したのか。検察官の問いに長田被告はこう続けた。
「もともと児童ポルノ動画を集めていましたが、私の中では、どこか遠い世界のものというイメージで見ていました。保育士としての知識がありながらも、まさか自分の目の前で起きていることに性的なものを感じるといったことは、私にとってはものすごく衝撃的なことでした。児童ポルノで感じたようなことを、目の前の園児に感じたのです。保育士としての立場と欲が葛藤した結果、私は欲に負けてしまいました」(長田被告)
延長保育でクラスを移動するとき、Gちゃんと二人きりになった長田被告は防犯カメラの死角になるピアノの下にGちゃんを連れて行き、性的暴行を加えた(この時点では、ピアノの下が防犯カメラの死角になるとは把握していなかったと主張している)。
犯行後、「焦りと、とんでもないことをしてしまったという自分への絶望感と、Gさん本人に対する申し訳なさや罪悪感を覚えました」と明かした。
「ずっと、頭と心の中では、やめなくちゃいけない、これ以上、被害者を増やしてはいけないと思っていました。しかしもう、心と身体がまったく真反対の方向を向いていて、正直に申し上げますと、本当に自分のコントロールを失っていました」(長田被告)
一部の被害者に対して性的暴行を撮影したことについては、「後で見返そうと思ったからです。あくまで自分が見るためで、拡散はしていません」という。
いずれ継ぐはずだった保育園の園長職を父は退き、面会した際に長田被告に「縁を切る」と通告。妻とも離婚し、財産分与の手続きが進められているという。
収入のほとんどを元妻に渡しており、長田被告の口座には数万円が残っているのみ。「被害弁償についてはどう考えていますか?」と弁護士に問われてこう回答した。
「被害弁償をしたい気持ちはあるが、いまは資力がありません。何年後になるかわかりませんが、いずれ社会復帰して職に就き、お金を稼いでから、受け取っていただける方には支払いたいと考えています」
長田被告は自分が性依存症であることを自認。「社会復帰したら治療のため病院に通う」ことや「二度と、子供にかかわる仕事には就かない」ことを約束したうえで、「今回、私がしてしまった自分勝手な行動で、大切なお子さんと、ご家族を傷つけてしまい、裏切ってしまい、本当に申し訳ございませんでした」と謝罪の言葉を述べて、弁護人質問を終えた。
取材・文:中平良