ソニーグループ傘下でゲーム事業を手がけるソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が、据え置き型ゲーム機『プレイステーション5(PS5)』の消費税込み価格を改定した。1万3000円の値上げで7万9980円。「昨今の世界的な経済情勢の変動などの厳しい外部環境を受け、当社ビジネスへの影響を踏まえ、決断に至った」(SIE)としている。

 ゲーム機の高性能化に伴い、半導体などの部材コストはかさむ傾向にある。物流費用やエネルギー価格の高騰も痛手。ソニーグループ社長の十時裕樹氏は2月、「PS4などと違って、コストダウンがなかなか難しい」と吐露していた。

 値上げには転売対策の側面もあるようだ。国内価格が海外に比べて安い場合、日本で購入して海外で売る訪日外国人が増えかねない。為替が円安であれば、なおさらだ。7月に日銀が政策金利を0.25%に引き上げ、9月に米連邦準備制度理事会(FRB)が0.5%引き下げたとはいえ、日米の金利差は依然大きい。

 今後の焦点は、PS5の値上げによる客離れをどれだけ食い止められるかだ。

 24年3月期のPS5の販売台数は2080万台と、当初計画の2500万台を大きく下回って着地。コロナ禍で盛り上がった巣ごもり需要が一巡した影響をモロに受けた。

 25年3月期の販売計画は約1800万台に抑えたものの、値上げで顧客開拓のペースが鈍るならば未達の可能性も現実味を帯びる。

 ライバルの任天堂は『ニンテンドースイッチ』の後継機を25年3月にも発売するとの観測がある。もともとは24年中に発売と見る向きが多かったが、本体の在庫確保やゲームソフトの充実を図るために延期したとみられている。

 ソニーグループは任天堂の牙城にどう立ち向かうのか。コンテンツの展開を含めた総合力が問われる。

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