東京都渋谷区のクラブでスリ行為を繰り返し、窃盗罪に問われた元地下アイドルのルル・ジョン・クリス被告(22)の初公判が9月25日、東京地裁で開かれた。法廷では、共犯者とのシステム化されたスリ手口と地下アイドルとして経済的に困窮していたことが明かされた。
「フィリピン国籍のルル被告はアイドルグループ『Anniversary Start』でKenという芸名で活動していました。逮捕直後に所属グループから脱退させられ、契約も解除されました」(全国紙司法担当記者)
サラサラ黒髪ヘアにくっきり二重
起訴状などによると同じくフィリピン国籍のブエナ・ジョシュア・セドリック・ゲバラ被告(23)と共謀し5月25日午前0時から1時半ごろ、渋谷のクラブで女性客のショルダーバッグから財布を盗んだという。また他の客のズボンから財布を窃取。当日、クラブでは客から「財布がなくなった」という申し出が複数あり、スタッフが退店時に所持品検査を行ったところルル被告が逃走。一方の取り押さえられたブエナ被告の所持品からは複数の財布が見つかった。その後、ルル被告も逮捕されている。
出廷したルル被告は、サラサラの黒髪ヘアに、くっきりとした二重。大きな瞳がアイドルとしての適性を感じさせた。起訴内容については、「間違いありません」と日本語で認めている。
「起訴状によると、ルル被告は’23年に知人を通じてブエナ被告と知り合い、スリを行うようになりました。2人は実行役と見張り役を交互に行い、盗んだお金は折半。さらにグッチ、プラダ、ルイ・ヴィトンといった高級ブランドの財布は中古ブランドの買い取り店で売却し、そのお金も折半するなど手口はシステム化されていたようです」(全国紙記者)
犯行動機についてルル被告は、
「芸能の仕事が本業だったが収入が少なくて困っていた。芸能活動に時間を取られて、バイトをすることも難しかった」
と経済的に困窮していたことを明かした。さらに、
「芸能の仕事は小さい頃からやりたいことだった。芸能の仕事は最初からうまくいかない。我慢したら先が見えると信じて夢に向かって頑張っていました」
と語ったが、今回の逮捕でアイドルの夢は完全に絶たれてしまった。
アイドルという虚栄心
「反省の色を見せたルル被告ですが、都内のクラブで2人は以前から要注意人物としてマークされていました。’23年8月から月に1〜3回の頻度でクラブでスリを行っており常習性が見て取れます。また盗んだクレジットカードの中からアメリカン・エキスプレスカードは価値が高いということで財布の中に入れたままでした。虚栄心もあったのでしょう」(捜査関係者)
最近では地下アイドルによるトラブルは増加傾向にあるという。
「ルル被告のように経済的に困窮している地下アイドルは多い。ファンとの距離が近いことで過剰な推し活を迫ったり、未成年に対してわいせつな行為におよび逮捕されたケースもあります」(事情通)
アイドルとしてファンに夢を与える存在になるはずが一時の欲望に負け、自身の夢を自らの手で潰してしまった。その代償はあまりも大きかった──。
外部リンクFRIDAYデジタル