相変わらず頻発する「
あおり運転」。ドライブレコーダーの普及に伴い、加害者の検挙率も向上していますが、まだまだ泣き寝入りする被害者も少なくありません。そんな状況の中、今回取材した男性は、思い切った撃退方法で防衛に成功しました。一体どんな方法だったのか詳しく聞いてきました。
◆あおり運転に遭わないための心構え
住宅設備会社に勤める細川さん(仮名・25歳)は、東京西部にある自宅から毎日マイカーで職場へ通勤しています。さらに、職場から各現場への移動も営業車のため、細川さんがハンドルを握る機会はかなり多めです。
「私の場合、運転免許がなければ仕事ができないので、日々『安全運転第一』です。さらに、あおり運転の被害に遭うことも避けるように気をつけています」
そんな細川さんの「あおり運転回避策」は下記の通り。
・無理な合流/割り込みはしない
・車間距離は詰めない
・ドライブレコーダー搭載ステッカーを貼る
◆久々のあおり運転被害に戸惑う
日々気をつけて運転している細川さんでしたが、最近、久々にあおり運転の被害に遭ってしまったそうです。
「その日は、少し家を出る時間が遅くなって、いつもより急いでいたんだと思います。そんな時に限っておなかの調子が悪くなり、通勤途中のコンビニのトイレを借りたんです。
その時点でいつもより15分も遅れていたので、かなり焦っていました。急いで車に乗り込み、コンビニの駐車場から出たのですが、そんな時に限って後方の車をよく確認していなかったんです」
細川さんは、バックミラーに映る後続車に驚きました。いつのまにかピタリと後方につけられ、パッシングをしたり蛇行運転をしたりと、あおられ始めたのでした。とはいえ、細川さんも遅刻はできないのでそのまま走行していると、今度はクラクションまで鳴らされる始末に。
◆どんどんエスカレートするあおり運転
細川さんは後続車に気を留めず、遅刻だけはしたくないという一心で車線変更をしながら走り続けました。後続車は、それを逃げたとでも思ったのか、ピタリと追従しながらさらにあおってきたといいます。
「その日は比較的道は空いていて、そんな時に限って赤信号にも引っかからなかったためか、私の車と後続車はもうカーチェイス状態だったのです。とはいえ、バックミラーの後続車よりも時計の方が気になり、側から見ると私の走り方はほぼ”逃走”状態だったと思います。それが余計に後続車のあおり度合いを助長したのでしょう」
ただ、しばらくすると車の量が増え始め、渋滞に巻き込まれ始めた細川さん。それでも、車線変更をしながら少しでも車を走らせますが、大きな交差点に差し掛かったとき、前方の信号は黄色から赤色に変わってしまったそうです。
◆とっさに考えたイチかバチかの行動
赤信号になり停止した瞬間、あおっていた車から作業服姿の若者が2人降りてきました。細川さんは、バックミラーに映る彼らの姿を見ながら、ようやくあおられている恐怖に怯え始めたといいます。
「バックミラーに映る彼らの様子が半端なく怖かったんです。絶対に何かされると感じました。前方は詰まっているし、かといって窓を開けなかったらドアを思い切り蹴られそうで……。この車は先月納車されたばかりだったんです」
そうこうしているうちに、後方から「おらー!逃げんじゃねーよ!急に飛び出してきやがってよー!」
「もう、どうにでもなれ!」となかばヤケクソになった細川さんは、こわもての男性が近寄る中、わざと運転席の窓を開け、スマホに向かって「組長、すんません!変な奴らにあおられています。現在、東八と府中街道の交差部分八王子方向です!」と叫びました。
心臓が飛び出るほど緊張した細川さんですが、その会話を聞いた2人組は、無言で車に戻り、Uターンして姿を消したそうです。
なぜ警察に連絡しなかったのかという問いかけに、細川さんは「実は、その時免許不携帯で、反則金を支払うのが嫌だったので」と即答したそうですが、どうやらコンソールボックスの奥の方に免許証はあったとのこと。
あまり参考になるあおり運転回避手段ではないとは思いますが、こういうこともあるのですね。
<TEXT/ベルクちゃん>
―[シリーズ・危険!あおり運転]―
【ベルクちゃん】
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営