生活していくうえで、お金の管理はとても大事なこと。

ですがお金は、欲しいものを買ったり、趣味にお金を使ったり、生きていくうえで楽しみをもたらしてくれることでもあります。

大事なのは「バランス」ですよね。

◆お金にだらしない父がトラウマ

吉田かおりさん(仮名・35歳)は、夫とお金の価値観が合わずに悩んでいるのだそうです。

「わたしの父がお金にルーズで、すぐに給料を使い込んでしまい、母がとても苦労しているのを見て育ちました。なので自分がもし結婚するなら、お金にきっちりした人を選びたいと思っていました。結婚した夫は、まじめでギャンブルもしたことがないような人。この人ならお金に困ることはないと思っていました」

新居から会社が遠く、さらに深夜作業も発生する仕事だったため、結婚を機に退職した吉田さん。しばらくは専業主婦をすることになったのですが、夫と結婚後、お金の管理がきっちりしすぎていることに気づいてしまったそう。

「付き合っていた頃は、高価なプレゼントなども買ってくれたし、外食も連れて行ってくれました。ですが結婚後はお金の管理をきっちりするために、必要最低限の生活費だけ渡すと言われ、月に自分のお小遣いや洋服代も含めて7万円でやるように言われました。仕事をやめてしまったので収入がなく、やりくりがとても大変になってしまいました」

◆値上げ交渉するも…

結婚当初は張り切って頑張ろうと節約を試みましたが、今まで会社員生活で外食も多かった吉田さんは、慣れない2人分の食事作りに加え、食費などの生活費の管理も大変でした。

結婚前にはあまり分からなかったのですが、夫は実はものすごく倹約家だったのです。どちらかというと浪費家な吉田さんに家計を任せたくない夫は、このくらいの生活費なら十分やっていけると言いますが、あっと言う間に生活費が底をつきてしまいます。

「最初なので夫に足りないと言えず、自分の退職金を切り崩して使っていましたが、それも早くに底をつきてしまいました。仕方なく、実は生活費が足りていないので、もう少し生活費を増やしてほしいと夫に頼んでみたのです。ですが夫は『もらった中でやりくりできるようにしないと、将来退職したら大変でしょ?』と聞く耳持たずでした」

◆高年収のはずが、想像以上の倹約っぷり

夫は当時、年収2000万越え。ですが将来に備えなくてはいけない、と退職後の生活をイメージして、それに合わせて生活費をコントロールできるようにさせようとしていました。

「退職はまだ20年以上も先。貯蓄も大事だけど、楽しいお金の使い方もしたいと訴えてみましたが『大きな病気など、何かあったときのために必要だ』の一点張り。足りないというと、レシートを見せてと言われ、ひとつひとつ1円単位でチェックされ、息がつまります」

徐々に倹約家すぎる夫にうんざりしてしまった吉田さん。夫が帰ってくる時間帯になると気持ちが落ち込み、楽しいはずの夫婦生活が憂鬱な毎日でした。

そんな吉田さんは悩んだ挙句、仕事を再開。以前より収入は落ちましたが、運よく家から通いやすい職場が見つかりました。夫には、共同の口座に決めた額の生活費を入れるので、あとは干渉しないでほしいと訴えました。

そうこうしているうちに妊娠。出産したら仕事をやめて子どもとじっくり向き合って育てたいと思いはしましたが、ただでさえお金のかかる育児なのに、またあの倹約生活を続けると思うと恐ろしくなってしまいました。

「幸い職場は女性の出産にも理解があり、産休、育休も取れるようだったので、悩んだ挙句仕事を続けながら子育てを頑張ることにしました。子どもが生まれたら、倹約家の夫も財布のひもが少しはゆるむのかな、という期待もあり、そうなったら仕事をやめて育児に専念したいと思っていました」