賃上げしても「生活が苦しい」が8割

今年の春闘では、大手企業の定期昇給とベースアップを合わせた賃上げ率が5.58%を記録した。5%を超えたのは1991年以来で33年ぶりになる。

また、日本商工会議所が全国およそ2000社の中小企業に調査したところ、今年賃上げを実施した企業は67.6%という結果だったことも明らかになった。

しかし、このように「賃上げ」という言葉を聞く機会が増えても、同時に食品を中心とした値上げは続いており、ビジネスパーソンの懐事情は依然として楽とは言えないようだ。

それを象徴するかのような調査を、食の福利厚生サービス「Ticket Restaurant®(チケットレストラン)」を提供する株式会社エデンレッドジャパンが行っている。

20〜50代のビジネスパーソン600名を対象にしたこの調査では、まず「今年は昨年より家計が苦しくなっていると感じますか」と質問。「苦しいと感じる」との回答がおよそ8割(79.3%)に達し、4割以上(44.0%)の人は「昨年よりさらに苦しい」と答えている。

また、「1年前と比較し、ご自身が使えるお小遣いは増えましたか」の質問には、「変わらない・やや減った・かなり減った」と回答した人が8割以上(84.6%)。賃上げの恩恵にあずかっていない人がほとんどと言えそうだ。

気になる平均ランチ代金は…

ビジネスパーソンのシビアな懐事情は、当然その節約状況にもあらわれている。つづく「ここ1年、節約を意識していますか」の問いに、「とても意識している・やや意識している」と答えた人は、じつに8割以上(84.9%)。

そこで気になるのが、日々のランチ事情だ。

エデンレッドジャパンでは2022年からビジネスパーソンの平均ランチ代金を調査しているが、24年は昨年の400円より24円アップ。ここ一年の食品の値上げの影響もあるのだろう。

一方で、使えるランチ代が増えたわけでもない。「ここ1年、勤務日に使えるランチ代に変化はありましたか」の質問に、3人に1人(32.5%)が「減った/やや減った」と回答している。

勤務日にランチを食べない人がこんなに…

それでも、ちゃんとランチを食べられているのならまだマシかもしれない。

同調査では、「ランチの欠食率」についても聞いている。

まず4人に1人(26.7%)が、勤務日にランチを食べないことがあると回答。この欠食率は昨年(25.3%)・一昨年(23.7%)よりも増加し、過去最高となっている。

なお、ランチを食べないことがある人に追加で質問したところ、週2回以上食べない人が半数に上っており、もはや習慣化している人もいるようだ。

ランチをとらずに働き続けては肝心の仕事のクオリティにも影響が出かねない。忙しさやダイエットなどの理由もあるかもしれないが、金銭的な事情でやむをえずランチを我慢している……という人が増えないためにも、企業には今後も継続的な「賃上げ」やその他の施策が求められると言えるだろう。

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なお、先日「マネー現代」で公開した〈年収は10年で2倍に、社宅は「庭付き一戸建て」…33歳大手製造メーカー社員の「うらやましくなる給与と福利厚生」〉でインタビューに応じた田中さん(仮名)は、年収が10年間で約2倍(ボーナス、残業代込み)になったと明かしている。

彼が勤務するのは、グループ会社全体で1万人以上の従業員数を抱えるプライム企業。企業によっては、このような「賃上げ」の恩恵を受けることもあるようだが……。

年収は10年で2倍に、社宅は「庭付き一戸建て」…33歳大手製造メーカー社員の「うらやましくなる給与と福利厚生」