吉岡:セカンドキャリアを確立するためには、社会や自分に対する目標を持つことが大切だと思います。お金のことばかりを考えると、またアダルト業界に戻る可能性が高くなると思います。

――吉岡さんはセクシー女優になる前から、社会や自分に対する目標を持っていたのですか?

吉岡:はい。私は女性としての仕事ではなく、仮に自分が男性だったとしても活躍できる仕事をしたいと思っていました。現役時代からその思いがあり、いろいろと試行錯誤していました。

◆現役時代から資格の取得や人生の目標を考えたほうがいい

――現役のセクシー女優に向けて、セカンドキャリアで成功するためのアドバイスはありますか?

吉岡:本当にセカンドキャリアを考えているのであれば、資格を取ったり、セクシー女優以外の人生の目標を立てたりするのが良いと思います。

――それから、お金の問題も大きいですよね。セクシー女優は普通のサラリーマンよりも高収入を得られるので、引退後にそのギャップに苦しむこともあるのではないですか?

吉岡:私は現役時代のギャランティーをあまり使わず、貯金をしていました。ですので、今でも生活費は変わらず、特に困ることはありません。世の中の人と同じで、たまに贅沢な食事をするくらいで、無駄遣いもせず、高額な家賃のところにも住んでいないので、今でも普通にやっていけています。

――そういう感覚は大事ですね。金銭的なギャップもなかったということですね?

吉岡:そうですね、現役時代より少し節約しようかなと思うことはありますが、大きく変わることはないです。

――このクリニックに入ったきっかけは何ですか?

吉岡:以前、別の会社で性感染症関連の仕事を手伝っていたんです。その時、自分のキャリアにも合っているし、追求していきたい分野だと感じました。そこで、正しい知識を広めていきたいと思っていたところ、このクリニックを紹介していただいたんです。

◆新しい性感染症が発見されても注目されない現実

――なるほど。セカンドキャリアの話はとても参考になりました。では、再び性感染症の話に戻りますが、アダルト業界における性病検査の問題点や課題はありますか?

吉岡:性感染症というのは次々と新しい種類が出てくるんです。その理由の一つは、性感染症を専門的に研究する医師があまり多くないからだと思います。性感染症は命に直結しないことが多いため、研究への関心が薄れがちなんです。医師たちは命にかかわる病気の研究を優先することが多いんですよ。

三並医院長:そうなんです。国の資金も命にかかわる病気の研究に多く使われます。性感染症に関しては、日本の場合、保険診療の範囲内でできる検査が限られています。具体的には、症状がある場合に限られます。さらに他の性感染症に同時にかかっている可能性があっても、合わせて調べることができないものが多いんです。

吉岡:そういう背景があるので性感染症に関する研究や治療が進みにくいんです。新しい性感染症が発見されても、命に関わる病気でない限り、注目を集めないことが多く、そのため、新しい性感染症が増えても、それが注目されずに見逃されることが問題だと思っています。例えば、梅毒やHIVのような有名な性感染症は広く知られていますが、「尖圭コンジローマって知ってる?」と言っても、多くの人は知らないでしょう。

――新しい性感染症が発見されるのは、偶然に近いのですか?

三並医院長:いろいろなケースがあります。「多くの患者が似たような症状を持っているが、原因が分からない」という場合や、少数でも深刻な症状がある患者が出て、それをきっかけに研究が進むことがあります。ただ、性感染症という理由だけで軽く見られてしまうことが多いのも事実です。