飛行機の隣席にとても体格の良い乗客が来たら?
航空機の利用では限られた機内という空間の為、それぞれの旅客に与えられたスペースは決して充分とは言えないのが現在のエコノミークラスの旅になる。普段でも狭いと感じる空間が脅かされる可能性をはらんでいるのが、隣席に来るかもしれない大きなサイズの体形の方だ。しかも長時間の国際線フライトであればなおさらだ。今回は、そのような場合に出来る対処方法についてお知らせしたい。

・状況を冷静に理解する
隣席に大柄の乗客が座り、自席にまで体がはみ出してくることがある。このような状況は、精神的に負担が掛かり、身体的な不快感をもたらす可能性があるが、冷静に対応することが重要である。まずは状況を正確に把握し、自分の快適さを守りながら、周囲の人々にも配慮する方法を考えるべきである。

・自分のスペースを守る
もし座席の変更が不可能な場合、自分のスペースを守るために工夫をすることも必要である。たとえば、アームレストをしっかり下げておくことで、自分の座席と隣席の境界を明確にし、はみ出してくる状況を緩和することができる。また、肘掛けに肘を置くことで、物理的に自分のスペースを確保することも効果的である。

・乗務員に相談する
最も基本的な対策として、フライトアテンダントに相談することが推奨される。乗務員は乗客の快適さを第一に考えており、こうした状況にも柔軟に対応してくれる。乗務員に冷静に状況を説明し、座席の変更や他の解決策を提案してもらうことが望ましい。座席の変更が可能であれば、その場で解決することができる。

しかしながら、時として満席になっていることはある。レアなケースとしての参考事例として覚えていて欲しいのは、無償で搭乗する社員や関係者のいる場合は結構あるということだ。それらの乗客を降ろして(もしくはその方をあなたの本来の席に誘導して)という方法も無い訳ではない。ただ、あなたがそれを主張してはいけない。客室乗務員の責任者が下す最終手段になるからだ。

◆座席を変更するための事前準備

大柄の方が隣に座る可能性を予見することは難しいが、事前に対策を講じることができる。たとえば、座席選択時に中間席を避けたり、座席の余裕がある場所を選ぶことで座席幅を確保することが可能である。一般的には降機に時間のかかる後部座席に空きがあることが多い。降機に時間が掛かると言ってもせいぜい5分の差も出ない程度だ。それを我慢すればフライト中の長い時間が快適になるのであれば、後部座席は悪くない選択だと言える。また、頻繁に飛行機を利用する場合で上級クラスに空きがあれば、その場で対応できる航空会社に限られるが、マイレージプログラムを活用して座席のアップグレードを検討することも一つの手段である。

◆JAL、ANAの運送約款には?

航空会社には「運送約款」という規定が存在し、これは旅客の安全と快適さを保証するために設けられている。輸送の為のバイブルであり、この存在を知っておくとスムーズな旅ができる。たとえば日系航空会社の場合、ホームページの最下段にある「運送約款」などと書かれたタブをクリックすると読むことができる。

JAL、ANAともにほぼ同じであり、国際旅客運送約款の第10条「運送の拒否及び制限」には、「他の旅客に迷惑を及ぼす可能性がある場合、航空会社は旅客の運送を拒否する、あるいは降機させることができる」と記載されている。

この規定に基づき、極端な場合には航空会社が大柄のお客様に対して別途対応を求めることができる。こうしたケースでは、対象の方は2席分の座席を購入するか、ビジネスクラス以上の広い座席を選択することが推奨される。本来この規定はチェックインカウンターで発揮されるべき内容のものであるが、人により見た目の判断は難しいものだ。すりぬけてしまった場合は、搭乗ゲートでの対処になり、それでも通過してしまった場合は機内で対応することになる。