今でも私がエプロンを捨てられないのは、あの頃の努力をしていた自分の象徴だからである。中には黒いエプロンを付けることがステータスだと思っているスタッフもいる。ゲーム感覚で知識を楽しんでいるスタッフもいるだろう。何が原動力なのか、人それぞれなのだ。ちなみに私は、「黒エプロンは体が細く見えるから」理由はそれ一択だった。

◆合格率は1割弱

 日本で一番合格率の低い国家資格は司法書士だそうだ。2023年の司法書士は1万3372人の受験者に対し、合格者は695人。それすなわち合格率は5.19%。そして、ブラックエプロンのここ数年の合格率は約8%。この合格率は公認会計士レベルなのだとか。ひゃー。

 だが、そもそもブラックエプロンを獲得するにはスターバックス®︎に入社、在籍していなければならない。地域によっては、「全然採用されない!」で、有名なスターバックス。それでいうと、日本一難しい資格といってもいいのではないだろうか。

ドリンクが特別美味しいのは嘘

 黒いエプロンの人に淹れてもらったからコーヒーが美味しい。時々耳にしていたがこれは嘘だ。緑のエプロンであっても黒いエプロンであっても、コーヒーを淹れる手順は全員同じ。エプロンの色に違いはあっても、味に違いはないはずなのだ。

 もし、ブラックエプロンのスタッフにコーヒーを淹れてもらうと特別美味しい気がする人がいるとしたら、色が持つ魔力かもしれない。

 ブラックエプロンのスタッフの正しい活用法があるとしたら、コーヒー豆の質問をするといい。むしろ、コーヒーのことを聞いて欲しくて黒を身につけているスタッフが多いのでそこはどんどん攻めていいはずだ。

◆ブラックエプロンの問題をいくつか

 記憶を辿って10問ほど出してみます。

Qカフェインの日本名は何というでしょう?
(茶素)
Qコーヒー発祥の地エチオピアの首都アジスアベバ、日本語の意味は?
(新しい花)
Q世界で最も高価なコーヒー「コピルアク」は、何の糞から採取されている?
(ジャコウネコ)
Q日本で初めてできた喫茶店の名前は?
(可否茶館)
Qコーヒー発見伝説に出てくる山羊飼いの少年の名前は?
(カルディ)
Qイエメンではコーヒーをなんと呼ぶ?
(ブン)
Qインドネシアでは?
(コピ)
Qブラジルでは?
(カッフェー)
Q韓国では?
(コッピー)

 いくつ正解できたでしょうか? ちなみに上記の知識は、私の人生ではまだ役に立っていません。黒い人を見かけたら、是非ともコーヒー豆の話を聞いてみてください。スタバの黒エプロンの方は、スタバの豆には愛があるので詳しいのです。愛がなければあんなに勉強できませんから。

<TEXT/阪口ゆうこ>

【阪口ゆうこ】
1981年生まれ。整えアドバイザー。片付けや整えについてのブログ「HOME by REFRESHERS」を運営。コラムなどの執筆、セミナー開催を行う。著書に『ゆるミニマルのススメ』などがある。好きなものはビール、宴会、発信すること。嫌いなものは戦争、口内炎、マラソン。Instagram:@sakaguchiyuko___