基本的には施術を受けたクリニックで対応してもらうのが一番いいと思うんですけど、対応してもらえない患者さんを私のクリニックで診てあげたいと思ってます。“最後まで面倒見れないなら最初から受け入れるなよ”って、対応しないクリニックに対しては思いますけどね。

 ただ、肌管理でのやけどって、クリニック側のミスによるものも、もちろんありますが、患者さんが診察時に伝えてなかった病気の経歴、その日の肌状態、前日使ってたスキンケアだったりが原因のこともあって、どれだけ正しい数値でやってても出てしまう場合もあるんです。だから、クリニックのミスが100%というわけじゃない。

 でも、起きてしまったときにトラブルに発展するのって、信頼関係が成り立ってないからだと思うんです。今まできちんと診てあげてたら、きっとそうはならない。

 例えばやけどをしてしまったら、クリニックがきちんと理由を説明して謝罪して、診察して薬を渡してって正しい対処をすれば、患者さんにも落ち度はある可能性もあるから納得してくれると思うんです。

――確かに。正しい対応をしてくれないから、SNSに書いたり、トラブルに発展したりするのでしょうね。

 だから、患者さんとの信頼は大事だと思ってます。そのために、私のクリニックではナースの担当制度があって、何かあったときにすぐ相談できるようにしているので……。

 SNSに被害として書かれるのは信頼関係が成り立っていないからだし、ものすごくちゃんと対応してくれているクリニックでスタッフがみんな患者さんに寄り添ってくれていれば、何かあってもSNSに書くより、そのクリニックに相談に来てくれると思ってます。

◆ドクターよりも「患者さんに近い存在である」という強み

――美容ナースが経営するクリニックだからこその強みはありますか?

 皮膚科はドクターよりもナースのほうが患者さんに近い存在だなと今まで美容皮膚科に勤めた経験から思っています。クリニックによるとは思うんですけど、美容皮膚科を極めているドクターもいるけど、意外とナースの方が肌のことに詳しかったり、対応してる患者さんも数も多いっていう体感があったんです。

 だから患者さんに近い存在だからこそ、患者さんも話しやすいし、ナースも寄り添えるという点で、ナースがやる強みはあるんじゃないかなと思っています。

 ドクターがクリニックを経営していても、肌のことに詳しいナースがいれば同じようなことはできるかもしれないんですけど、いろんなことを決める権限がドクターではなく私にあるから、より患者に近い存在が、クリニックの方向性や導入する機械、施術のメニューなどを決めて、患者さんに寄り添ったものが提供できるのが強みだと思います。

――自身が整形経験者だからクリニックに活かせたこともあるんでしょうか?

 私のクリニックでは外科をやる訳ではないので、整形経験者であることが強みになることはないんですが、やっぱり私は美容医療で努力して綺麗になったと言う経験があるので、綺麗になりたい人の気持ちはすごく理解できるんです。

 それって、患者さんからしても、元から綺麗でキラキラしている人より、努力して変わった人の方が安心できるかなって。

 人からはそんなに気にならないよって言われることでも、自分にとってはすごく気になる……みたいな、人にはわからない悩みがあることは理解できる。それは皮膚治療だけじゃなく、外科治療も自分自身がたくさんやってきたからこそ分かることでもあるかもしれません。

◆開業資金7000万円は融資と貯金

――クリニックをオープンするにあたって苦労したことはありますか?