美容医療に従事する看護師を指す“美容ナース”。そんな美容ナースが広く知られる存在になる先駆けであるのが、現在もインフルエンサーとして活動しながら、今年9月に自身のクリニックを開業した、みるくナースさんです。

 みるくナースさんは美容整形した過去を公表し、そのために使った総額は1000万円を超えていると明かしています。また、昨年『女子SPA!』に登場した際には、美容ナースになる前の東大病院での病棟勤務の経験や、医療の現場に立ち続けることへの思いを語ってくれました。

 今回、融資や貯金など約7000万円を捻出し、完全に1人でクリニックの開業へと踏み切った彼女。ここまで強い意志を持って自身のクリニックを作ろうとしたのはなぜなのか?

 インタビューを進めていくと、美容クリニック業界の闇と、それに真っ向から立ち向かい、彼女のモットーである“賢く強く可愛い女”を体現する、意志の強さと思いを知ることができました。

◆自分の理想の美容医療を提供したかった

――クリニックをオープンさせようと思ったきっかけを教えてください。

 自分のSNSを見て来てくれる患者さんには、自分が思う美容医療を提供したいという思いが強くて、どこかのクリニックに所属するより、自分でクリニックを作ったほうが自分の納得のいくものを提供できるというのが、“開業するしかない!”と思ったのがきっかけですね。

 美容ナースとして7年働いてきて、働くクリニックによって方針が違うから、自分がやりたいと思ってること全部ができる場所はなかったんです。

 いろいろな患者さんを診てきたし、いろんなところで働いて、インフルエンサーだけではなく、美容の仕事はずっと続けたいなと思っていたんですけど。

――クリニックの開業を報告するInstagramの投稿では<過去に酷く騙されたこともあり、一度諦めた夢で「クリニックは絶対やらない」とずっと言ってた>とありました。以前、クリニックのプロデュースもされていますが、どういうきっかけだったんでしょうか。

 インフルエンサーになりたてのころからクリニックを開業したいという思いはあったんですが、その時に、SNS上で経営コンサルをやっている人から「クリニックのプロデュースをしませんか?」と声がかかって……。

 当時は“自分のお金で自分で開業する”と言うところまでは具体的に考えていなくて、とにかく“自分のクリニックです”と言えるものを出したかったんです。

 最初は、自分で色々決められるとのことだったのでやったんですけど、実際はいろいろなことをクリーンにやっていける環境ではなくて。

 クリニックに導入する機械も、施術のメニューも、決めていいという割には「これってどうなの?」と思うことを最終的に決定されたりと、自分の意に反するような運営方法で、患者さんにもスタッフにも優しくなかったんですよね。

 でも、自分がお金を出している訳じゃないから意見を言う権限もないし、会社として上の方針に従わなきゃいけないし、自分のやりたいことをやれる場所じゃないのに、名前だけ使われているような感じがすごかったんです。

 スタッフからの不満も私にくるんですけど、私は経営を左右できる立場じゃなかったから、スタッフの思うようにはやらせてあげられないし、でも不満だけはぶつけられるという状況。あまり自分のやりたかった働き方ではないなと言うのは、中に入って思いましたね。

◆経営陣から嫌がらせを受けることも

――なるほど。自分のクリニックだけれども、あくまでプロデュースなので、最終的な決定権はなかったということなんですね。

 そうですね。集客についても会社の上から言われたりしていたんですが、「こう言う施術をメニューとして出さないと、患者さんは来ないです」と言っても聞いてもらえないし、集客するために必要なものも用意してもらえなくて。