大谷との勝負を最後まで続けたマーリンズのシューメーカー監督。(C)Getty Images
偉才との勝負を決意した采配が、歴史を変えたのかもしれない。
現地時間9月19日、大谷翔平(ドジャース)は敵地でのマーリンズ戦に「1番・DH」で先発出場。6打数6安打3本塁打2盗塁10打点と衝撃的な活躍を披露し、史上初となる「シーズン51本塁打・51盗塁」を達成した。
【動画】大谷翔平が3打席連発で「51‐51」達成!3本塁打を一気見する
ドジャースが20-4で大勝した一戦で、史上初の大記録を打ち立てた大谷。彼の千両役者ぶりを物語るパフォーマンスは大きな称賛に価すると言えよう。一方で投手陣が崩壊する中で、二刀流スターとの勝負を避けなかったマーリンズベンチの判断に小さくない疑問が生じたのも事実ではある。
大谷がドジャースにとっても重要なポイントゲッターというのは、もはや万人の知るところだ。ゆえにピンチの局面で失点を防ぐために申告敬遠をするという決断をしてもおかしくはなかった。
ではなぜマーリンズのスキップ・シューメーカー監督は、大谷から“逃げなかった”のか。試合後に地元スポーツ局『Bally Sports Florida』などの取材に応じた44歳の青年指揮官は、「(大谷を敬遠することは)野球的にも、私のカルマ的にも、そして野球の神様的にも、悪い行動だと思った」とキッパリ。そして、若手が少なくない自軍投手陣をかばうように「我々は野球をリスペクトしている。だから彼からアウトを取るように抑え込めるかどうか試してみるべきだったんだ」と語った。
歴史的なスターとなっている大谷との勝負がチームにとっても、野球界にとっても、「貴重な機会」と捉えたシューメーカー監督は、「私が見た中で、最も才能のある選手だ。あと、数年ピークが続けば、史上最高の選手になるかもしれない」と吐露。そして、こうもつぶやいている。
「恐れずに立ち向かったチームを誇りに思うし、野球はそうあるべきなんだ。マーリンズにとっては良くない日だったけど、野球にとっては良い日だった」
「野球にとって良い日だった」――。この言葉が大谷との勝負を選んだワケを集約しているように思える。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]