「今季最悪の試合だった。責任を感じています」
湘南ベルマーレが1−3で敗れたJ1第30節のアルビレックス新潟戦をそう評すのは、主将のキム・ミンテだ。ボール保持を目指す湘南が、ポゼッションサッカーの完成度の差を新潟に見せつけられたゲームで、3バックの中央で先発した47番は、前半のふたつの失点に絡み、ハーフタイムで大野和成と入れ替わる形でベンチに下がった。
キム・ミンテは新潟戦までに23試合に出場したが、途中交代でピッチを後にしたのはこれが今季初。新潟戦後、山口智監督は「後ろがルーズで、安心感がなかったので、ハイラインとコンパクトさを保ってほしかった。あとは、2トップから中盤に下りてくる長倉(幹樹)選手に対してのタスクを、前半はミンテができていなかったので、(大野)和成に与えました」と、交代の理由は負傷などではなく戦術的なものだったと明かした。
昨夏に湘南に加わって以降、不動のCBとして戦ってきたキム・ミンテにとって、前半のみでの交代は屈辱的だったはず。本人は反省を口にする。
「自分がしっかりしておけば何が起きても安定して戦えたはずなので、責任を感じています。戦っているなかで上手くいかないなと思った時、いつもであれば自分はどこが問題点なのかを見ようとしているし、要因が分かったら(鈴木)雄斗をはじめ他の選手と話して、改善したりしています。
ただ、新潟戦は自分のことで一杯いっぱいになって、観察や声の掛け合いがなくなってしまった。試合中も、どうすればいいのかを常に考えていましたが、上手くいかず...。良くない前半を過ごしてしまいました」
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新潟戦後には、副将の鈴木雄斗と戦い方についての議論を交わしたという。「俺、本当はどうしたら良かったんだろう」「いまだに正解が掴めない」と同い年のチームメイトに本音をぶつけ、いくつかの課題が見えてきたと話す。
「今回は(チームとして)前から行く狙いでしたし、“プレスをどうハメるか”というところを集中的に準備していた。ただ、(8分に)1失点目を許すまで、自分たちが一度もボールを持てなかったんじゃないか、というくらい、ハマらなかった。そういった時に、自分や雄斗ら経験のある選手が先導して、勝つために、引いて守る判断も必要だったのかもしれません。失点後の“前に行かなきゃ”というチームの雰囲気に自分がのまれてしまったのも反省点です。
また、プレスがハマらなかった時にどうするか、という策が足りなかったのも課題です。ハイプレスから引いた守備に移行する時にどうすべきなのか、という取り組みや選手同士のコミュニケーションがなかった。新潟戦は自分がセンターバックとして、主将として、もっと成長しなければいけないと実感させられたゲームでした」
次節の相手は、新潟と同様にボール保持を狙うセレッソ大阪だ。前節での学びを、早速、活かせる機会だと言える。キム・ミンテも「セレッソは新潟と同様に技術あるチーム。加えて、前線の個の能力も強烈です。新潟戦の反省も踏まえて、プレスが剥がされても落ち着いて対応できるよう、色々なパターンを想定して準備したい」と意気込む。
45分のみのプレーにとどまった新潟戦の悔しさを、C大阪戦にぶつけられるか。次節を含め、今季の残り8試合でひとつでも上の順位に駆け上がるには、キム・ミンテの復調が鍵となるに違いない。
取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)
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