[画像] ふるさと納税、右肩上がりは終わり? 都城市、日本一も寄付額減

 2023年度に寄付額が全国で1兆円を超えたふるさと納税で、宮崎県都城市が2年連続5度目の日本一となった。ただ、寄付額は前年度より約2億円減少し、都市部の寄付額増加が目立つようになった。制度はこれからどうあるべきなのか。ふるさと納税に詳しい東京財団政策研究所の平田英明主席研究員=法政大教授=に話を聞いた。

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 ――都城市の寄付額が減少した。

 ◆今回の減少によって都城市の財政が危機的な状況になることはまずないだろう。そもそも論で言えば、ふるさと納税は偶発的に寄付が増えるか減るかという話で、経常的な収入としてとらえるべきではない。

 2025年10月からはポイントを付与する仲介サイトを使って自治体が寄付を募ることが禁止される。パイの奪い合いになる制度の構図は変わらないが、今後は全体の寄付額が急激に増えることは考えにくく、調整局面に入っていくだろう。都城市に限った話ではないが右肩上がりを描く環境は終わりを迎えようとしているのではないか。

 ――都市部は税が流出する状況が続いている。

 ◆返礼品拡大に慎重な自治体と、返礼品を拡大して税を取り返しに動く自治体の2パターンに分かれている。都市部が強力なコンテンツを全て出しているという状況にはないが、やれる範囲で返礼品を拡大している自治体が増えてきてはいる。

 例えば都市部のレストラン食事券が返礼品になっているケースもあるが、市民からすれば「どうせ買い物に行ってご飯を食べるのだから」という意識になる。こういう返礼品が出てくると当然、都市部から都市部にお金が流れる。

 ――都市間競争になってしまうと、地方の自治体に愛着を持つのは難しくならないか。

 ◆その通りだ。名前は「ふるさと」だが、現状は自治体間の税金の取り合いになってしまっている。廃止は現実的ではないが、規模を縮小し、その分の財源で各地方の魅力発信につなげる新たな方法を検討すべきだ。返礼品に頼らない地方創生のあり方が求められている。【聞き手・中里顕】