1970年の大阪万博は「月の石」、2005年の愛知万博は「冷凍マンモス」。そして2025年大阪・関西万博の目玉展示は、南極観測隊が2000年に昭和基地周辺で発見した「火星の石」である。

 幅29センチ、奥行き22センチ、高さ16センチで、重さはおよそ13キロ。ラグビーボールほどの大きさで、石を保管している国立極地研究所が分析をおこなったところ、「数万年前に火星から地球に飛来した物質」であることがわかり、一般公開は初めてだという。

 研究者の間では「火星に水が存在していたことを示唆する重要な資料」とされるため、宇宙や生命の起源をたどる特設ブースを設置する方向で検討している。来館者は、実際に触ることも可能だという。

 1970年の大阪万博では、アポロ12号が持ち帰った「月の石」をひと目見ようと長蛇の列ができ、4時間、5時間待ちは当たり前だった。今回も、そうした盛り上がりが見られるのだろうか――。

「月の石は、大阪万博開催前年にアポロ12号が月面着陸して持ち帰ったものです。その様子を日本人もリアルタイムで見ていたことから、『宇宙がここにある』との高揚感がありました。今回の万博でも、月の石の再展示が検討されたほどです。

 一方、『火星の石』にはそうした背景がなく、発見されたのも2000年と万博開催時からすれば25年も前のしろもの。『これが火星の石です』とポンと出されても、ワクワク感はあまりないのではないでしょうか」(経済担当記者)

 Xにも、

《時代感覚とか大丈夫? いま、20世紀じゃないんだけど》

《アポロが月で採取した石と火星由来の隕石の石とは迫力が違う》

《火星で採取したものではなく、拾ってきた「火星の石」を展示したからと集客につながるとは思えない》

 など冷めた意見が多い。なかには、

《「初めて一般公開される」と書かれているけど、極地研のウェブマガジンには「極地研の特別公開でも毎年展示している」と書かれています》

《空飛ぶクルマ→ただのドローン 火星の石→南極で拾った石 万博はハッタリで出来ている》

 といった皮肉のポストもあった。

 確かに、国立極地研究所のホームページを見てみると、《黒くて緑っぽい色の石は「火星隕石」と考えられています》との記載とともに、隕石の写真が掲載されている。さらに《こちらで紹介した隕石は、南極・北極科学館で常設展示しています》とも記載されている。

 石を保管している国立極地研究所に聞くと、「サンプル採取していた火星表面の大気成分と、石の中の成分が合致したことから『火星からの隕石』と断定。数万年前に火星から地球に飛来したことがわかった」とのことだ。

 ちなみに、「火星の石」は確かに研究所で常設展示されているが、今回の万博で展示されるのは「主たる個体」と呼ばれるメインの「火星の石」で、初公開なのだという。「火星の石」が初展示だという万博の説明は間違いではないものの、少し微妙な気も……。

 万博の “一番星” たる目玉展示が、不発に終わらないとよいのだが。