ACIDMANのワンマンツアー<ACIDMAN LIVE TOUR “ゴールデンセットリスト”>が8月16日の福岡・ももちパレスにてファイナルを迎えた。同ツアーは5月10日の京都・ロームシアター京都 メインホールを皮切りに、北海道、埼玉、石川、愛知、宮城、岡山、東京、そして福岡といった全国9ヵ所のホールをまわったもの。そのセミファイナル公演となった8月11日、即日ソールドアウトの東京・LINE CUBE SHIBUYAのレポートをお届けしたい。
◆ACIDMAN 画像
今回のツアーでは、最新シングル「輝けるもの」と、同曲が主題歌を担当した映画『ゴールデンカムイ』の世界観をかけて、“金”をキーワードにしたセットリスト=“GOLDEN SETLIST”というスペシャルな内容となった。これまでもさまざまな色彩を曲に織り込んできたACIDMANだが、なかでも金は特別な色。大木伸夫(Vo, G)のMCによれば、「歌詞に金、金色、黄金色などが登場する曲が12曲あった」という。つまり、これまでリリースされたアルバム12作品に1曲は、この言葉が収録されている割合だ。そうした曲を中心にしたことで、普段のライブではなかなか演奏していなかった曲も並ぶ。ACIDMANの魅力を再発見、再発掘していくようなディープなツアーでもある。
その1曲目となったのは6thアルバム『LIFE』(2008年発表)収録の「金色のカペラ」。スポットライトのもとで大木がギターをかき鳴らし、佐藤雅俊(B)、浦山一悟(Dr)が勢いよくリズムを重ねていく。シンプルでスピード感あふれるこの曲から、続く「風が吹く時」ではさらにエネルギッシュなアンサンブルでステージからフロアへと風を送る。力強くも哀愁の色を帯びた歌声やメロディが観客のコブシを突き上げさせ、浦山の「ワン、ツー、スリー、フォー!」の掛け声でスタートした「歪んだ光」では観客の体を揺さぶっていく。スリリングなアレンジもあり曲がダイナミックな輝きを増していた。
「ツアー<ゴールデンセットリスト>、LINE CUBE SHIBUYAへようそこ、ACIDMANです」と大木が高らかに挨拶をすると、会場に大きな拍手や歓声が響きわたった。観客の歓喜をたっぷりと浴びた大木は「すごい。最高。ライブはいいな、と日々感じています」と語る。今回のツアーでは初めて“ACIDMAN”のロゴが輝くペンライトをツアーグッズとして作ったそうだが、拍手と共にフロアのあちらこちらで輝くペンライトを目にした大木は、「ペンライトも、ありがとうございます。やっとアイドルになれた気がしました」と笑顔を見せた。
改めて今回のツアー<ゴールデンセットリスト>開催へのきっかけとなった映画『ゴールデンカムイ』との出会い、また映画を通じてACIDMANと出会ってくれた人など、「ひとつひとつが奇跡の連続です。心の奥の奥まで一生懸命届くように歌います。最後までよろしくお願いします」と語り、続くブロックは美しく壮大なアンサンブルと、心に深く呼びかける歌で観客を恍惚の彼方へと連れ立っていく「ミレニアム」でスタートした。
躍動するビートと、“さあ”と誘うリフレイン、そしてフロア全体を照らすようなライトの眩さに観客の興奮が駆け上がり、グルーヴィな「Blight&Right」やジャジーな「ユートピア」が続く。アコースティックギターに持ち替えて軽やかにグラフィカルに描いていく「ラストコード」から、1stアルバム『創』(2002年発表)収録の「赤橙」では、爪弾かれるギターのイントロと同時に会場内の熱がぐんと上がるのを感じた。
中盤では、「せっかくのホール公演だから」と観客を座らせ、たっぷりとMCを披露。「宇宙の話をしたいと思います」という大木の言葉に、観客からは待ってました!とばかりに歓声と笑い声が上がる。映画タイアップ曲「輝けるもの」をきっかけに初めてACIDMANのライブに足を運んだ人には、「噂には聞いていたと思うけど、結構しゃべります。宇宙のこと」とご説明。そして、同ツアーのキーワードである“金”が、どんなふうにできているのかを、宇宙の誕生からの壮大なストーリーのなかで繰り広げた。話に耳を傾けて静かになった会場に、大木が思わず「あれ、みんな寝てる?」と笑いを誘う場面もあったが、今やこうしたMCも込みでACIDMANワンマンの醍醐味だ。138億年前の宇宙の誕生から、太陽と鉄と生命との奇跡のドラマについても話し、「人々は争いあっている場合ではない、生きている感動を分かち合うために生きているんだ」と語って、ライブは後半戦へと突入した。
ギターの深いリバーブ感で、それまで話に耳を傾けていた観客を再び音楽で飲み込んでいったのは「銀河の街」。さらに「水写」、「アルケミスト」へ。遥かな世界に思いを馳せながら、今という時を刻んでいる尊さを思う曲たちだ。また、美しく観念的に描かれた歌と、物思いの静けさから想像力がうねりを帯びて広がっていくようなサウンドとが、感情を揺さぶっていく曲でもある。
感情を破裂させる激しさが演奏に乗った「水写」では、大木が何かを堪えるように歌っていたのが印象的だった。これについてはアンコールのMCで、「47歳になってライブ中に泣くとは思わなかった。でも、ライブではより言葉を噛み締めながら歌うので泣けてくることもある」と語っていた。
ファンにはお馴染みとなっているのが会場の名前にかけた浦山のダジャレMCだ。佐藤雅俊の絶賛を得たという会心のダジャレにさざなみの笑いが会場を温かにした。そして、インストゥルメンタル曲「彩-前編-」から「彩-後編-」へとエモーショナルなアンサンブルを響かせ、柔らかでメロディアスなベースラインが冴える「ワンダーランド」へ。
本編終盤のクライマックスでは、映画『ゴールデンカムイ』主題歌「輝けるもの」が披露された。アグレッシヴなビートやリフとシンクロして照明が明滅し、爆発力のあるサビに観客のコブシが上がった。改めて、頭から高いテンションで心拍数をぐっと上げ、ライブで大きな一体感を生んでいく曲だと感じる。
さらに「ワン、ツー!」という浦山の掛け声でスタートした「アレグロ」のイントロに歓声が沸き起こり、本編ラストの「ある証明」では佐藤が勢いよくコブシを振るって大きなコールを巻き起こしていく。大木は「思い切り叫ぶぞ」とアンサンブルの温度を上げて、観客のパワーも受け止めながらロングトーンによる叫びを響かせた。この瞬間を謳歌する高らかな声が、会場内を歓喜の色に染め上げた。
迎えたアンコールでは、数日前に誕生日を迎えた大木を祝し、浦山の音頭で「Happy Birthday To You」の大合唱、佐藤が舞台袖からケーキを運び入れた。観客からの「おめでとう!」の声や拍手を浴びながら、「祝われるのは苦手」だと照れくさそうにしているのは饒舌なフロントマンとしての姿とは異なるパーソナルな横顔だろう。
そして、「自分の音楽を追求しながら、またこうしてライブだったりで、つながりあっていけたら」と語り、最後にドラマ『テレビ東京× WOWOW共同制作連続ドラマ ダブルチート 偽りの警官Season1』主題歌にして最新シングル「白と黒」を披露。<ACIDMAN LIVE TOUR “ゴールデンセットリスト”>セミファイナルを感動と興奮のうちに締めくくった。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎Victor Nomoto - Metacraft/Taka"nekoze photo"
■全国ホールツアー<ACIDMAN LIVE TOUR “ゴールデンセットリスト”>8月11日(日)@東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)SETLIST
02. 風が吹く時
03. 歪んだ光
04. ミレニアム
05. Braight & Right
06. ユートピア
07. ラストコード
08. 赤橙
09. 銀河の街
10. 水写
11. アルケミスト
12. 彩-前編-
13. 彩-後編-
14. ワンダーランド
15. 輝けるもの
16. アレグロ
17. ある証明
encore
en1. 白と黒
■<This is ACIDMAN>
10月30日(水) 神奈川・ KT Zepp Yokohama
▼チケットbr>・SSエリア(最前ブロック):¥8,000円(税込)
・2F SS指定席(最前列):¥8,000円(税込)
・1Fスタンディング:¥6,000(税込)
・2F指定席:¥6,000(税込)
・学割1Fスタンディング:¥4,000(税込)
・学割2F指定席:¥4,000(税込)
※SSエリア/SS指定席=モバイル先行限定
※学割チケットについて
・高校生以下が対象
・必ず大人の方とのご来場をお願いします。
・お客様は必ず学生証または年齢のわかる物をご持参ください。
■『連続ドラマW ゴールデンカムイ -北海道刺青囚人争奪編-』
※詳細は後日発表
放送開始:2024年10月6日(日)午後10時より
放送局:WOWOWにて独占放送・配信 ※全9話
公式サイト:https://kamuy-movie.com/
■結束バンドNEW EP『We will』
2024年11月6日(水)発売
【初回仕様限定盤(CD)】
SVWC-70677 \2,200(税抜価格 \2,000)
収録曲:全4曲
▼仕様・特典
●キャラクターデザイン・総作画監督けろりら描き下ろしジャケットイラスト
●ポラロイド風フォトカード封入
※収録内容や特典は予告なく変更となる場合がございます
※少し未来の結束バンドのメンバーがそれぞれデモを持ち寄り作りあげたコンセプトEP
■結束バンド「惑う星」
歌唱:山田リョウ
作詞・作曲:大木伸夫(ACIDMAN)
編曲:三井律郎
『We will』詳細ページ
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