斎藤知事(写真・時事通信)
「なんだ、悔し涙なのかーー」
パワハラ告発に続き、刑事事件化の可能性も囁かれる県補助金の増額疑惑がある斎藤元彦・兵庫県知事。その斎藤知事が9月11日の会見中、突如嗚咽を漏らした。
その姿を見て、現役の県職員は冒頭のように漏らしたーー。
斎藤知事の“涙”の意味は何だったのか。県政担当の大手紙記者が背景について明かす。
「これまで知事を擁護していた維新が、批判の高まりを恐れ、9日に辞職要求を突きつけました。最大会派の自民党は、県民生活への影響を最小限にするために、補正予算が成立する10月3日を待って不信任案を出す予定。その前段として、12日に維新を除く会派で辞任要求を出す根回しをしていました。
維新の手のひら返しで、不信任案が19日の議会冒頭で出されることがほぼ決まっています」
さらに、崖っぷちの状況に置かれている自分への“悔し涙”だったと続ける。
「知事が落涙したのは、不信任案が可決されることが確実な状況をどう受け止めているかという質問に続き、辞職要求に名を連ねた議員の中には、かつて知事選で斎藤知事を支援した議員がいることについて聞かれた後でした。
『自分自身に悔しい思いではあります。でもあの、先生方も、心から今も感謝はしていますので。はい、本当に申し訳ない』と、ひと言ひと言、絞り出すように話していたのが印象的でした。ただ、最後まで亡くなった2人の職員ついての自発的な言及はなく、これを記者に確認されると元局長への悔やみを述べるに留まりました」
冒頭のコメントを残した現役の県職員は、こう語る。
「百条委員長の奥谷謙一県議は斎藤知事と同世代ですし、これまでむしろ自分にヘコヘコしていた。百条委員会で自身を問い詰める奥谷委員長の態度も、悔しさの要因のひとつでしょう。
そんな斎藤知事は朝、9時半には登庁するものの、午後の会見までは知事室に籠りきりだそうです。委員会で、“未確認もある”という旨の註までつけて贈答品が137品あったことを明らかにしたのは秘書課職員ですから、斎藤知事は最も身近の職員も信じられない気持ちでしょう。
会見に時間制限を付けてないのは、斎藤知事にその後の予定がないからです。秘書課の仕事は、たまに斎藤知事の夕食用の弁当を手配するくらい。会見が終われば帰宅するようです。
ご家族も今、私的な理由で県内にはいないようです。四面楚歌の状況で、一人で食べる弁当の味は苦いものでしょう」
もっと苦い思いをした人は周りにたくさんいるはずだが……。