なんとも微妙な答えだったんですが、その時は私も彼と一緒にいることが楽しかったので、また会うことにしたんです。

でも客観的に見たら私たちの関係はセフレみたいなもの。だからなんとか恋愛にシフトチェンジしたいと思って、私の家に呼んだんです。床上手っていう点では合格点をもらえそうなので、古い考え方ですが今度は胃袋を掴もうと思ったんです(笑)」

――あはは(笑)。それでは、料理を振る舞ったんですね!

「はい。肉じゃがと生姜焼きを作りました。全て茶色くなってしまって全然映えなかったです。でも、ここからが本当の怖い話で。彼の“裏の顔”を見てしまったんです」

――え、彼の性癖は、まだ裏の顔じゃなかったんですか?

◆彼女の飼い犬へ「まさかの言葉」をかけた上に……

「私には3キロのトイプードルのモモがいるんです。モモが家にいることは彼も知っていたんですが、犬が苦手だったようで、私の前では『怖い怖い』とビクビクしていました。

私の家のキッチンはリビングとガラス扉を挟んだ廊下にあって、少し距離はありますが、リビングから声をかけられたら聞こえます。料理をしている時に、彼が私に何か話しかけてきたんですが、料理に集中したかったので聞こえないふりをして無視したんです。それで、彼は私に声が届いていないと思ったんでしょう。

彼は、リビングに一緒にいるモモに、悪態をついていたんです。

『ウザイんだよ、お前。いつでもお前のことなんて殺せるんだからな』」

◆今何かしたら本当に殺されるかもしれない……

「びっくりしてそっと覗くと、モモの顔の前で、床を足でドン、ドンと蹴って、怖がらせていたんです。

その時、本気で恐怖を感じました。ただ、今何かしたら本当に殺されるかもしれない……。まずは冷静に対処しなきゃと考え、できた料理をすぐにリビングへ運びました。

モモは部屋の角に隠れていて全然出てきませんでした。尻尾も両足の間に入れて身を小さくしていたので、本当に申し訳ない気持ちでした」

◆その男にとっての「一番の恐怖」を持ち出した

――それから、どうなったんですか?

「ご飯を食べた後、私が急に体調が悪くなったと言って、彼には帰ってもらいました。どうにか会うのをやめなきゃと考えていたのですが、私の家も知っているので変な別れ方をしたら家に来そうだし……。

一生懸命考えた結果、『私と結婚を前提に付き合ってほしい。今の状況が辛すぎる』と伝えました。

そうしたら彼は、結婚はできないからと言ってこの関係を終わらせてきました。結婚を考えていない女性から結婚を迫ると、本当にわかりやすく男性は離れるな〜と思いました。

でも、小さな動物にあんな仕打ちをする男性とは絶対に付き合えないです」

アプリの男性と密室で会う前に考えたいこと

今回のお話は運よく、直接的な危害を加えられることなく終わりましたが、中村さんも飼い犬のモモちゃんも非常に怖い思いをしました。マッチングアプリ出会いでは相手を信用できるまで、家に招かないこと、一緒に車に乗らないことが鉄則だと思います。

私がアプリで知り合った男性と会う時は、男性と会う直前に友人へ「○○というアプリで知り合った男性とどこどこにご飯食べに行くよ。3時間後に連絡がない場合は電話ください」とLINEをしたこともありました。

安全で安心な出会いのため、自分でできる対策を用意しておくといいかもしれません。

※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<文/田中亜依>

【田中亜依】
恋愛・婚活コンサルタント、デートコーチ。婚活歴10年、婚活に700万円を投資。マッチングアプリ、結婚相談所、合コンで600人以上の男性と出会い結婚。この経験を生かし、国内最大手結婚相談所にて「また会いたくなるデート方法」などのセミナー講師として活動。公式ホームページ/Twitter:@date_coach_ai/Instagram:@ai_tanaka1019