「会見冒頭では『改革を圧倒的に加速できるリーダー』を標榜し、早期に衆議院を解散することを明言しました」(政治担当記者)
9月6日、小泉進次郎元環境相が都内で記者会見し、自民党総裁選への出馬を正式表明した。
手元の原稿に目をやりながら“安全運転”を続けた小泉氏だったが、会見開始から40分ほど経過した質疑応答で、フリージャーナリストの田中龍作氏から“爆弾質問”が飛び出した。
「小泉さんがこの先、首相になってG7に出席されたら、知的レベルの低さで恥をかくのではないかと、皆さん心配しております」
過去の会見では「(気候変動問題には)セクシーに取り組むべき」といった“進次郎構文”を繰り返してきた小泉氏だが、この日は違った。
「私に足りないところが多くあるのは事実だと思います。完璧ではないことも事実です。しかし、その足りないところを補ってくれるチーム、最高のチームを作ります。(中略)田中さんにこのようなご指摘を受けたことを肝に銘じて、『あいつマシになったな』と、思っていただけるようにしたいです」
と答え、環境相就任時に同様の質問を投げかけられた記者から、退任時に花束をもらったエピソードを披露。田中氏とも「そうなれれば嬉しい」と語った。田中氏は、「勉強してくださいよ」と応じるのが精いっぱいだった。
小泉氏の爽やかな回答に、X上では絶賛のコメントのほか、《進次郎の株を上げるための仕込みなんじゃないか》という「ヤラセ」を疑う声までも多数投稿される事態となった。
田中氏は、支援者からの寄付金でネットメディア「田中龍作ジャーナル」を運営。ウクライナやガザの戦争や、国内では貧困や原発、森友学園問題などの取材を続けてきた反骨のジャーナリストだ。会見当日の夜、悔しさを噛みしめているだろう田中氏を直撃すると……。
「前から進次郎の知識レベルの低さ、頭の空っぽさが気になっていました。安倍晋三(元首相)が人気だけで幹事長になったときも、選挙の現場へ行くと、(支援者が)もう“ワーワーキャーキャー”言ってですね、それが日本をダメにしましたね。進次郎が首相になると、また日本が大変なことになると思い、あの質問は絶対にぶつけようと」
そんな“ド直球”の質問に、小泉氏は冷静に回答した。
「意外と爽やかな切り返しがきた(笑)。これが立憲民主党の枝野幸男なら取り乱したり、木で鼻をくくったような対応なんです。それに比べると、『敵ながらあっぱれ』ですよ。人間が練れてるぞと思いましたね。ただ、逆にいやらしさを感じましたけどね。巧みすぎて気持ち悪いじゃないですか」
と、質疑の結果を客観的に受け止めている田中氏。では、ヤラセ疑惑が持ち上がっていることはどう思うのか。本人に聞く前に、田中氏と親交のある政治ジャーナリストの宮崎信行氏の証言。
「田中さんと小泉さんは面識がありますよ。2021年の総裁選のとき、田中さんが小泉さんの写真を撮ろうと『小泉さん、お顔をこちらに!』とユニークな調子で呼びかけました。小泉さんはそれが気になったようで、公設第一秘書に田中さんの素性を聞いたんです。小泉さんもこのときは、田中さんに好印象を持ったはずです」
別の永田町関係者も、「田中氏は環境問題を取材するなかで、進次郎氏と会見のやり取りはあったはずだ」と言う。
田中氏は、過去に小泉氏の囲み会見には一度だけ出席したことがあると語るが、ヤラセ疑惑や「旧知の間だからあえて聞きづらいことを聞けた」という世評については、強い口調で否定する。
「進次郎とは知り合いではないですよ。彼だって、今回の会見で僕の名前を聞き直したじゃないですか。つき合いはまったくないです」
今日の会見によって、自らもネットで“有名”になったことについては、こう答えた。
「はい、ネトウヨで炎上してます(笑)。思ったとおりです。ネトウヨがガンガン言ってくるのは、自民党筋が気にしている証拠。ある筋によると、党内は『とんでもねえ質問しやがって』と激怒しているらしいですよ」
そう言いながら、「へっへっへ」と笑う田中氏。ジャーナリストの信念を引っ提げ、小泉氏との第2ラウンドも近そうだ。